Research Abstract |
H23年度は,モノテルペン放出種の針葉樹木であるスギとヒノキを用いて,高濃度オゾンとCO2の複合暴露実験を5月初旬から10月末まで実施した.実験植物には3年生の実生を用い,各処理区でヒノキを4個体,スギを6個体栽培した.オゾン濃度は,オゾンを除去したフィルター区,大気濃度区,高濃度区(大気+40ppbv)とした.CO2濃度は,大気濃度区,高濃度区(800ppm)とした.暴露には,オープントップチャンバー(OTC)を用い,各処理区2台,計12台のOTCを用いた. 当初,栽培に用いているOTCをそのまま用いて,OTC内の植物のテルペン放出速度を定量しようと試みたが,周囲空気中のテルペン濃度も比較的高く(~1ppbv),OTC入り口と出口の濃度差が10%以下であったため,信頼できるデータを取得できなかった. そこで,葉内のモノテルペン含有量を評価指標とするため,水蒸気蒸留法を用いたモノテルペンの抽出を試みた.突沸などの不具合の対応や,適切な蒸留時間の検討を行い,水蒸気蒸留法によるモノテルペン含有量の評価法を確立した. 10月末の実験終了時に測定したスギ,ヒノキの成長量(地上部乾物重,樹高)は,高濃度CO2区で高かったが,葉のモノテルペン含有量に有意な差は見られなかった.これは,実生苗を用いたため個体間差が大きい(標準偏差>50%)ことが原因と考えられた.次年度,クローン苗を用いて再実験を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H23年度に,針葉樹のモノテルペン放出速度におよぼす高濃度オゾンとCO2の影響を評価する予定であったが,実生苗を用いたことが一因となり,個体間に予想以上の大きなバラツキが見られた.そのため,高濃度オゾンのモノテルペン生産量におよぼす阻害的影響の傾向は見られたものの,平均値間に有意差がでなかった.
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