2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体試料を用いた環境中有害化学物質曝露の健康影響評価
Project/Area Number |
21310027
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
柴田 康行 National Institute for Environmental Studies, 化学環境研究領域, 領域長 (80154251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 俊次 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 主任研究員 (80321719)
中野 武 兵庫県環境研究センター, 安全科学科, 科長 (00446791)
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Keywords | 尿中化学物質分析 / プロファイリング / LC-TOF / GCxGC / MSMS / 固相抽出材 |
Research Abstract |
生体試料中化学物質並びに代謝物のプロファイリングから曝露状況、健康影響を評価していく新たな手法開発を目指し、初年度は特に尿に注目して、広範な化学物質の一斉分析を目指しつつ、固相抽出による簡便かつ高度濃縮による高感度分析と、TOFを利用した一斉分析法の開発の2つの観点からの手法開発研究を進めた。 固相抽出材の選定にあたっては、尿中への排泄物が一般に代謝により水溶性を増して排出促進を図っていることに鑑みて、疎水性のスチレンジビニルベンゼン系と親水性メタクリレートにイオン交換基を導入した共重合体ベースの3種類の物質の検討を進めた。一連のモデル物質を用いて市販の一般的疎水性固相抽出剤と比較したところ、イオン基の導入でより親水性の高い物質に対しても良好な保持能力が示された。一方、尿のLC-TOF分析では、カフェインや一部の薬剤などが十分な感度で検出された。オンライン固相抽出法と組み合わせることでさらに高感度化が達成でき、生体成分に由来すると思われる膨大な数の化学物質が検出された。ただし、現段階ではデータベースが未整備なためもあって、同定可能な化学物質数は限られていた。こうした中で、二次元GCとMSMSを組み合わせた新たな方法で、塩素や臭素、フッ素などハロゲンを含有する化学物質をニュートラルロスで選択的に抽出できることが示され、TOFとMSMS技術をベースに固相や分離手段を最適に組み合わせて、様々な特徴ある化学物質の一斉分析、網羅分析の実現可能性を示すことができた。
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