2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21310034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮川 清 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 教授 (40200133)
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Keywords | DNA損傷 / 中心体 / 相同組換え / 染色体不安定性 / 放射線発がん |
Research Abstract |
放射線を代表とするDNA損傷の結果として生じる中心体異常による染色体異常の機序を解明するために、一つのモデルとして、自発的にこのような異常を呈するRad51C変異細胞を用いて解析を行なった。Rad51C変異細胞では中心体数の増加と染色体の異数体の増加が観察される。この異常がDNA損傷の存在が直接的原因となって起こるのか否かを理解するために、DNA損傷のセンサーとしての役割を果たすATMとATRの機能をRNA干渉によって低下させて検討した。その結果、ATRの機能低下時にのみRad51C変異細胞で増加した中心体異常が軽減した。その次に、ATRのリン酸化の標的であるChk1とChk2の関与をこれらの阻害剤処理ならびにRNA干渉によって検討した。その結果、Chk1の抑制によって中心体異常は軽減した。さらに、Chk1の中心体機能への直接的な関与を調べるために、二重免疫染色によってChk1と中心体の場所的な関係を検討した。その結果、ハイドロキシウレアによるDNA複製阻害時に、Chk1は中心体と共局在する傾向があり、特にRad51C変異細胞ではその傾向が増強された。一方で、同様に細胞周期の制御に関与するChk2は、このような動きをとらなかった。以上の結果より、DNA複製の異常に起因するDNA損傷が存在する場合には、ATR-Chk1の経路が活性化し、活性化されたChk1が中心体に移動することによって、中心体数の増加がおこることが示唆された。このように、相同組換えに重要な役割を果たすRad51Cの機能が低下した場合の中心体異常の生成に、DNA損傷に応答する情報伝達経路が寄与していることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)