2009 Fiscal Year Annual Research Report
核小体及び関連タンパク質のゲノム安定性における役割
Project/Area Number |
21310035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 純也 Kyoto University, 放射線生物研究センター, 助教 (30301302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 幾江 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (00346503)
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Keywords | 核小体 / nucleolin / DNA損傷 / チェックポイント / DNA修復 |
Research Abstract |
ゲノムDNA損傷応答における役割が明らかでない核小体について、その核小体に含まれるタンパク質がゲノムDNA全般の修復機構に関与するのか、核小体に存在するrDNA遺伝子に特異的な修復機構があるのか、核小体、rDNAの異常がゲノム不安定性・発癌へつながるのかを解析し、核小体制御のゲノム安定性への役割を明らかにすることを目的として、平成21年度は核小体タンパク質nucleolinのDNA二重鎖切断損傷(DSBs)応答における役割、DSB発生時の挙動について解析を行った。その結果、nucleolinは通常時は核小体に局在し、電離放射線やDNA複製ストレスで核質に分散することを明らかにした、また、共焦点レーザー顕微鏡のレーザー局所照射でDSBを発生させた部位にnucleolinは蓄積し、クロマチン免疫沈降法でもDSB部位に蓄積することが確認された。また、nucleolinを、siRNAにより発現抑制した細胞では、放射線照射後のATM依存的なタンパク質リン酸化及び、細胞周期チェックポイントが抑制されていた。さらに、ノックダウン細胞ではDSB修復の主要経路である相同組換え修復(HR)の活性が低下したとともに、HR因子であるRad51, BRCA1の放射線によるフォーカス形成も低下していた。さらに、DSBの重要なマーカーであるγ-H2AXフォーカスの放射線照射後の増減を検討すると、DSB修復完了に伴う消失が、nucelolinノックダウン細胞では遅れていた。これらの結果から、平成21年度研究では核小体タンパク質nucleolinがDNA二重鎖切断損傷応答に機能する重要因子であることを、他に先駆けて、はじめて明らかにした。
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Research Products
(5 results)