2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21310040
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
大西 武雄 奈良県立医科大学, 医学部, 特任教授 (60094554)
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Keywords | p53 / NOラジカル / 放射線適応応答 / 細胞周期 / 宇宙放射線 |
Research Abstract |
(1)あらかじめの低線量放射線(0.02Gy)照射または低濃度NOラジカル発生剤による処理の6時間後に高線量(6Gy)照射した場合、正常型p53細胞(H1299/wtp53)に明らかな放射線抵抗性の獲得や誘導染色体異常抑制で判定する放射線適応応答があることを報告してきた。今回、細胞周期を同調させることによって、この現象がG_2/M期の短縮とS期の遅延の間に起こることを明らかにすることができた。一方、あらかじめの高線量の放射線照射や高濃度NOラジカル発生剤の処理による増感および誘導染色体異常発生の促進はG_2/M期の延長とS期の短縮の間に観察された。したがって、放射線適応応答機構にNOラジカル発生が大きく関与している可能性が示された。これらの結果をJRRに発表した。 (2)2009年に実施された宇宙国際ステーション(ISS)での宇宙実験を解析し、その成果を発表した。ヒトリンパ芽球TK6細胞由来の正常型p53細胞TSCE5および変異型p53細胞WTK1を用いた。ISSのフリーザーで133日間保存させ宇宙放射線に曝露させたサンプルの細胞死・アポトーシス・染色体異常・突然変異・LLOH誘導を測定した。低線量のX線を照射させたものを地上コントロールとした。物理測定では約45mSvであった。放射線適応応答が測定できる線量のWindow(線量域)であった。また、宇宙環境で1g、μg、地上コントロールでこの2種の細胞を培養して合成されるタンパク質を宇宙放射線影響、μg影響、宇宙環境影響に分けて誘導されるまたは抑制される遺伝子発現を分析し、論文として発表した。
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