2010 Fiscal Year Annual Research Report
投射神経可視化マウスを用いた周生期ビスフェノール曝露影響の解析
Project/Area Number |
21310047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡辺 肇 大阪大学, 工学研究科, 教授 (80212322)
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Keywords | ビスフェノールA / エストロゲン / 新生児影響 / 化学物質影響 |
Research Abstract |
化学物質影響における重要な問題の1つに、胎児や新生児における曝露影響がある。胎児期や新生児期の化学物質曝露においては、かねてより脆弱性が指摘されていたが、これは単に胎児期や新生児期の一時的な曝露にとどまらず成熟後にまで影響を及ぼす問題が懸念されている。疫学的アプローチからも、成人に発症する様々な疾患について、その起源が胎児期や新生児期の環境に起因するという考えが提唱され、胎児起源による成人疾患の発症(Fetal origins of Adult Disease)と呼ばれ、関心が高まっている。ビスフェノールなどのエストロゲン様化学物質を胎児期や新生児期に曝露した個体では成熟時に様々な影響が生じることが知られている。数多くの報告がなされながらも明確な結論が出ず、その影響が懸念される問題の1つにビスフェノール曝露による性成熟や性周期への影響がある。本研究では、新生児へのビスフェノール曝露が神経系に及ぼす影響について、投射神経可視化マウスを用いた解析とゲノムレベルからのエピジエネティックな解析を進めることにより、その分子機構を解明する。このために、エストロゲン応答性の神経線維を標識するために、エストロゲン受容体が発現している神経線維において蛍光を発するマウスを作製するためのDNAコンストラクトを作製したが、コンストラクトを詳細に解析した結果、目的のコンストラクトを構築できたものの、同時に予想外のゲノム領域が残っていることが明らかになり、現在完全なコンストラクトへの再構築を進めている。研究室の移動が生じたために遅れが生じているものの、来年度中には予定通りの段階まで進める予定である。
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