2011 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質PTFE膜を用いた真空蒸発による除去液中VOCの迅速・効率的な分離回収技術
Project/Area Number |
21310058
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 茂 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10137987)
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Keywords | VOC(揮発性有機化合物) / 排気ガス / VOC除去処理技術 / 除去液 / 除去液再生技術 / DEHA(アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル) / 空気流動真空蒸発法 |
Research Abstract |
塗装工場から排出されるVOCの削減対策として多孔質PTFE膜パネルを用いた平行板型拡散スクラバーや噴霧ノズルを用いた除去液噴霧方式を用いるVOC除去処理システムの開発を行ってきた。除去液は循環再生的に使用する必要があり、本研究ではその再生方法について検討を行った。除去液再生方法として、従来の真空蒸発をより進めた空気流動真空蒸発を検討した。空気流動真空蒸発法は、除去液を真空容器内で噴霧し、比較的低真空(数千Pa)で真空容器内で空気をリークして空気の流れで除去液から蒸発したVOCを真空容器内からで追い出し回収する。 本法により、実際の塗装工場で排気ガス中VOC除去を行った除去液(DEHA、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル)中VOC回収実験を行い、圧力や温度などの条件の最適化を行った。導入空気流量5L/min、圧力950Pa、蒸発温度71.9℃、除去液温度80,9℃、除去液流量0.48L/minで、Tolueneで93.4±0.1%、Total VOCで92.2±0.1%の回収率がリアルタイムで得られた。 真空ポンプから排気された高濃度VOCは、VOCを再利用できるように冷却凝縮によるVOC回収を検討した。主なVOCの融点は-80℃以下であるため、-80℃による冷却凝縮で効率よく回収できる。真空ポンプからの排気ガスをまず0℃に冷やして水蒸気と一部のVOCを回収し、次に排気ガスを-80℃に冷却することでVOCを回収する2段階冷却凝縮を検討した。除去液中VOC回収実験での排気ガスを2段階冷却凝縮装置に導入してVOC冷却凝縮実験を行った。排気ガス流量5L/minとした。その結果、Tolueneで94.1±2.5%、Total VOCで94.0±2.4%の凝縮率を得た。 以上のことから本装置を用いることで除去液からのVOCを効率よく蒸発・回収でき、除去液の再生が可能となった。
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