2009 Fiscal Year Annual Research Report
単一量子ドット分光による非平衡核スピン分布の可視化
Project/Area Number |
21310064
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
黒田 隆 National Institute for Materials Science, 量子ドットセンター, 主幹研究員 (00272659)
|
Keywords | 量子ドット / レーザー分光 / 核磁場効果 |
Research Abstract |
本研究では、単一量子ドット発光における核磁場効果(オーバーハウザー・シフト)を観測することにより、母体結晶の核スピンの空間分布を1ミクロン・オーダーの空間分解能で可視化することを目的とする。オーバーハウザー効果(核偏極による有効磁場効果)は、高々、10マイクロeV程度のスペクトル変化であり、大型分光器による精密分光が要求される。平成21年度は、焦点距離75センチの分光器を導入し、かつてない高いエネルギー分解能で単一量子ドット発光スペクトル観測を実施した。実験は液滴エビ法で作製したGaAs/AlGaAs自己形成量子ドットを対象とする。その結果、特に、電子・正孔の長距離交換相互作用による(異方的)微細構造分裂や、そのサイズ依存性、および高指数面成長による微細分裂の抑制などの結果を得ることに成功した。微細構造の観測により、多励起子準位のスペクトル同定が可能となり、正・負の荷電励起子の束縛エネルギーが、サイズに依存して変化する様子を見出した。特に、正の荷電励起子は、サイズの増加に伴って、非束縛状態から束縛状態に連続的に変化した。これは、平均場的効果と電子相関との兼ね合いによって、束縛エネルギーが決まることを示しており、第一原理的な数値計算と定量的な一致を示す。 高分解分光実験と平行して、入射光・検出光の偏光状態の任意制御できるポラリメータ系を製作した。現在、顕微分光系に組み込むことにより、装置系全体の性能評価を進めているところである。これにより核磁場分光を実現した
|