2011 Fiscal Year Annual Research Report
固液界面のナノ反応解析のための単一分子感度・ナノメータ空間分解能のラマン分光法
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21310071
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
二又 政之 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20344161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 満 産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, グループ長 (70356434)
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Keywords | 単一分子検出 / 表面プラズモン / 近接場ラマン |
Research Abstract |
固液界面のナノラマンイメージングによる1分子レベルの挙動解明のために、 (1)単一分子感度ラマン分光の確立に関して、 前年度、金ナノ粒子の表面電荷の制御により、カチオン性色素だけでなく中性化した色素分子の金表面へのアミノ基の配位結合を用いて、金ナノ粒子を近接安定化し、10^8-10^9倍のラマン増強度が得られることを初めて見出した。本年度、吸着分子の配向性や、金表面との相互作用を明らかにすることができた。色素だけでなく、DNA塩基の高感度検出が可能であることを見いだした。これにより、生体分子系への単一分子ラマン分光の適用性が示唆された。 (2)固液界面のナノ反応解析のために、チップのナノスケール研磨、SAM膜による化学的固定など金属ナノ粒子固定法について、最適化を進めた。FDTD計算により、チップ形状の空間分解能と吸着分子のラマン増強について系統的に評価を行い、実用性の高い高性能金属ナノ構造を見いだした。 (3)ギャップモードに関して、伝搬性プラズモンとの複合化による超巨大ラマン信号検出に成功した。理論計算を進め、金属ナノ粒子の近接場プローブとしての有用性を確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「1分子感度ラマン分光に関する溶液中金属ナノ粒子近接化法の確立」が極めて順調に進み、溶液中の種々の化学種の金属ナノ粒子との静電的及び化学的相互作用によるナノギャップへの捕捉と、1分子感度ラマン分光による状態分析が実現できるようになった。このため、色素だけでなく、DNA塩基や、軽金属イオン、重金属イオンなどの溶液中での存在状態や金属表面との相互作用が、この手法により明らかになりつつある。また、「金属ナノ粒子をプローブとして利用するナノラマンイメージング」についても、最適形状・誘電体チップの影響など詳細が明らかになってきた。金属ナノ粒子のチップへの固定法についても、実験的な検討を進め順調な進展が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.1分子感度ラマン分光に関する溶液中金属ナノ粒子近接化法の確立 溶液中のより幅広い化学種に対して、金属ナノ粒子近接化による1分子感度ラマン分光を実現し、基礎化学のみならず応用展開を図る。例えば、サイズや電荷の異なる金属イオンやハロゲン化物イオン等の水溶液中での水和構造・イオン間相互作用について、この手法での検討を行う。水和によるイオン電荷の遮蔽や、第1水和構造の物理化学的意味をあきらかにする。また、金属ナノ粒子表面にチオール化した生体分子を固定し、重金属イオンと生体分子の相互作用の1分子感度での解析を通して、自然水中の重金属の生体への影響について、詳しい知見を得る。 2.金属ナノ粒子をプローブとして用いるナノラマンイメージング AFMチップ先端への1個の金属ナノ粒子固定法について、(a)チップの表面修飾法、タッピング条件の精密制御などを行い、金属ナノ粒子の安定な固定条件について研究を進める。並行して、(b)チップに金属蒸着膜を形成する方法について、チップの化学的処理で銀薄膜の濡れ性を制御することで、チップ先端への球状チップ形成すること、あるいは、チップ先端を平坦化したのち、金属ナノ粒子を固定する方法等について、系統的に検討を進める。
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Research Products
(17 results)