2011 Fiscal Year Annual Research Report
表面ナノ加工金属基板を用いた表面支援レーザー脱離イオン化質量分析システム
Project/Area Number |
21310072
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
米澤 徹 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90284538)
|
Keywords | 質量分析 / イオン化効率 / ナノ粒子 / ソフトイオン化 / ラッキーサバイバー |
Research Abstract |
質量分析分野において、レーザーを用いて基板からサンプルを脱離・イオン化する。特に、このとき、有機マトリクスを加えて行うことをMALDIという。このとき、マトリクス分子にはレーザーエネルギーが大きく関与し、マトリクス分子が分解し、いくつかのピークを示す様になる。一方で、ナノ粒子やナノ構造基板を用いてレーザー照射するSALDI-MS法では、こうしたピークを示さないため、低分子量化合物である薬物・毒物の検出に向いている。そこで、いくつかのナノ構造をもつ金属基板、半導体基板を作成し、SALDI-MS検討を行った。 SALDI-MS検討の結果、ナノ粒子、金属種の違いによって、ソフトイオン化率、検出効率などが大きく異なることが分かった。しかし、レーザー照射によって生じる熱は非常に大きく、脱離に対する影響が非常に大きく変化するとは考えにくい。MALDIシステムでは、検出されるのは、脱離した分子のごくわずかがまずイオン化され、それから検出されると考えられており、それをラッキー・サバイバーという。それを考えると、多くの場合には、低分子はMALDI、SALDI双方において脱離しており、そのイオン化システムに検出効率が大きく依存する可能性が高いと考えられる。 その場合、イオン化効率をあげることが、検出への近道であると結論することができる。 これを考えたとき、ナノ構造体・ナノ粒子表面に特定のイオンを持たせることが好ましいことが分かった。これまで検討してきたナノ粒子の中では、酸化銅を用いた場合には、銅2+の附加体が検出されることが分かり、また、アルカリ金属イオンを多くドープしたものなどは、そのイオンが附加する場合を見つけることができた。これは新しいSALDIシステムとして興味深い
|