2011 Fiscal Year Annual Research Report
新たに発見した微小点収束画像処理原理に基づく電子線トモグラフィ再構成法の確立
Project/Area Number |
21310075
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
馬場 則男 工学院大学, 情報学部, 教授 (80164896)
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Keywords | 電子線CT / 画像復元 / 逆問題 / ナノ材料 / ナノバイオ |
Research Abstract |
昨年度の研究実績の概要で述べたように、微小点集合より格段に汎用性と実用性が高く、再構成法の根本理論に立ち至る新たな手法を考案し(特願2010-160529)、平成23年度は、これをさらに発展させ応用実験も進めた。本手法をよく調べた結果、理論も明確化でき、「非線形離散濃度諧調再構成法」であることを見出した。すなわち、これまでの連続関数による再構成法から、離散数学による方法に変え、また、離散的に等濃度断面ごとに再構成し、その断面領域は複数の連続体を成すとの拘束条件下で非線形最適化法を使って収束演算する手法であると明らかにできた。今回の大きな成果は、研究計画段階でも期待した、再構成に必要な投影像枚数(TEMやSTEMによる試料傾斜像)が大幅に削減できることが実験的に実証できたことである。現状のソフトウェアでは、少ない組成数の材料に限られるが、情報欠落をほぼ完全に払拭し、投影枚数がこれまでの約5分の1で済むことを明らかに出来たことである。ここで、そこまで減らしても、ほぼ解像度を落とさないで再構成された。更に、研究計画に従い、本手法の利点となった、少ない電子線照射量でも情報欠落の影響を受けず、また解像度の劣化を抑えられることを活かす応用実験を開始した。既に、超電導材料の元素マッピングであるエネルギーフィルタ像の3次元再構成を連携研究者と始め、クライオ電子顕微鏡の実験も開始した。幾つかの具体的データの取得まで進んだが、ここで、未解決の課題が浮上した。それは、投影像の撮影枚数が大幅に減らせたことによる、画像位置合わせの困難さである。現在もその解決策を研究中であるが、ここでも非線形最適化法を使って解決できる見通しを示せたので、これらの応用実験も今後成果が期待できると考えている。
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