2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜を破壊する蛋白質・ペプチドと膜の相互作用の単一巨大リポソーム法による研究
Project/Area Number |
21310080
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山崎 昌一 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (70200665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 俊彦 静岡大学, 理学部, 講師 (60344389)
丹波 之宏 鈴鹿高専, 教養教育科, 講師 (50436911)
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Keywords | 生物物理学 / ナノバイオ / 生体膜 / 巨大リポソーム(GUV) / 単一GUV法 / 蛋白質毒素ライセニン / 抗菌ペプチドーマガイニン2 / ポア形成 |
Research Abstract |
1. 生体膜/脂質膜の巨大リポソーム(GUV)を精製する新しい方法「Membrane Filtering Method」を開発した。水和法で作成したジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)/ジオレイルポスファチジルコリン(DOPC)混合膜のGUVの懸濁液をこの方法を用いて精製し、直径が10-30μmのGUVを得ることに成功した。また、この方法によりGUVと水溶性蛍光プローブや小さなリポソームを分離することができ、さらにGUVの濃縮をすることもできた。 2. 単一GUV法を用いて、マガイニン2が形成する脂質膜(50%DOPG/50%DOPC)中のポア(小孔)からの種々の大きさの蛍光プローブの膜透過(漏れ)を研究した。Texas-Red dextran(TRD)-10kやTRD-3kの膜透過は、初期の急速な膜透過とそれに続く遅い膜透過が観察され、それぞれの速度定数を決定した。これらの結果は、最初マガイニン2は膜に大きなポアをあけるが、その後ポアの半径は時間とともに小さくなり、最終的に安定な小さなポアになることを示唆する。 3. 蛋白質毒素ライセニンが誘起する脂質膜中のポア形成を単一GUV法により研究した。まず蛍光プローブのカルセインの水溶液を内部に含むスフィンゴミエリン(SM)/DOPC-GUVとライセニンの相互作用を37℃で調べた。カルセインの膜透過は確率過程的に始まり、その後膜透過速度定数は時間とともに増加し、やがて定常的な最大値をとった。この速度定数から求めた膜透過係数の最大値は、膜中のSM濃度とともに大きく増大した。さらに、同じライセニン濃度におけるSM/DOPC/コレステロール(chol)-GUVの膜透過係数の最大値はSM/DOPC-GUVのそれよりも大きかった。これらの結果からポア形成について考察した。
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