2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ絶縁膜に基づくプラズモン共鳴表面設計製造技術の確立と赤外トンネル発光への展開
Project/Area Number |
21310088
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
宮崎 英樹 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, グループリーダー (10262114)
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Keywords | 微小共振器 / トンネル現象 / 光源技術 / マイクロ・ナノデバイス / 応用光学・量子光工学 |
Research Abstract |
1.エネルギーの流れに基づいたプラズモン共鳴表面の設計法の確立 奥行きが無限に長い1次元的に配列された微小な共振器が電磁波を吸収する様子を2次元平面内で検討した。平面波は双極子、四重極子等のベッセル関数で記述される円筒面波成分に展開できる。また、個々のベッセル関数は共振器に入射する(収入)第2種ハンケル関数と共振器から出射する(支出)第1種ハンケル関数に分解できる。 微小共振器は双極子の第2種ハンケル関数成分で励起され、このモードの断面積が共振器の持ちうる最大断面積となる。この周期で共振器を配列すれば完全吸収表面を実現できる。 2.プラズモン共鳴表面の制御性良い製造手法の確立 昨年度まで検討していた化学機械研磨法に依存する製造方法を抜本的に見直した。その結果、非常に簡単でありながら連結共振器として機能する構造を考案した。研究期間内には間に合わなかったが特許申請を準備している。 実際にナノ絶縁膜として原子層堆積(ALD)法で作製したAl_2O_3を用いたナノ共振器アレイを電子線リソグラフィとドライエッチングにて試作し、目標とした3~4μmでの共鳴に対して、3.0~3.7μmでTM偏光に対してのみ共鳴を観測できた。期待通り、約3倍の周波数にて2次の共鳴も観測された。必要なプロセスは当初の計画以上に簡潔なものなので、標準的なナノインプリント工程にて同じ構造が実現できることは疑いがない。 3.プラズモン増強赤外トンネル光源の開発 作製した共振器の電気的特性を評価し、個々のナノ共振器をトンネル電流が流れることを確認した。トンネル電流は当初不安定であるが、比較的高い電圧を長時間流すことで変動が収まり、ALD法により耐久性が高く安定したナノ絶縁膜が実現できていることを確認した。MCT検出器を装備した赤外顕微鏡によるトンネル発光の検証結果については成果報告書にて述べる。
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