Research Abstract |
昨年度は,前年までに開発した空間分割分布の分析手法を,ポリゴン分布に対して適用するための拡張を行った.本年度はさらに,この手法を点分布間の関係分析に拡張する研究を実施した. 点分布はポリゴン分布とは異なり,空間分割構造あるいはポリゴン分布の一般形と見なされることはない.そのため,前年度のポリゴン分布の場合とは違い,これまで開発した分析手法をそのまま拡張して適用することができない. しかしながら,点分布を何らかの空間操作によって,空間分割構造あるいはポリゴン分布へと変換することが可能である,即ち,点分布に基づいて生成されるボロノイ分割は空間分割構造であり,バッファ操作の結果はポリゴン分布となるため,変換結果に対してこれまで開発した手法を適用することができる.そこでまずは,このような方法で既存手法を試み,その妥当性を実証的に検討した.その結果,やはり直接的な手法の拡張が困難であることが明らかになったことから,新たに点分布に適用可能な理論を開発した.この手法は,点分布のバッファ領域を考えることにより,点分布をポリゴン分布に変換,ポリゴン分布に関する手法を若干修正しつつ利用するものである.バッファ領域を考えるため,自由なパラメータが一つ増加するという課題は残るものの,手法の汎用性が確保されることから,このような方法を採用した.手法は千葉市における商業施設分布に適用し,理論が適切に機能することを確認すると共に,実用上も有用な知見を得ることができた.
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