2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21310091
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梅室 博行 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 准教授 (80251651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徃住 彰文 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (50125332)
福田 亮子 慶應義塾大学, 環境情報学部, 特任講師 (80383917)
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Keywords | 感情 / 認知科学 / 人間工学 / サービス / デザイン |
Research Abstract |
本研究では「ユーザに感情反応を引き起こす技術製品・サービス」をアフェクティブ・テクノロジーと定義し、その概念および実際にそれらを造り出す方法論を確立することを目的とする。本年度は下記の4点について活動をおこなった。 (1)技術の設計要因と感情反応・技術受容の関連づけ 技術製品・サービスのどのような要因がユーザの感情反応と関連するかを明らかにした。感情経験を引き起こす8因子を特定し、感情反応との相関を検証した。さらに実際の製品・サービスをこれら8因子を用いて評価・比較し特徴の違いを明らかにした。 また感情反応が技術製品・サービスの受容プロセスに与える影響について明らかにした。高齢者がタブレット端末を受容するプロセスを分析し、親しみのあるものだけでなく話題性の高いものにも興味を向けること、使いやすいインターフェイスであれば新奇なものも受容することを示した。 (2)感情反応プロセスの観測手法 人の感情的反応を観測する方法について研究を行った。まず小説体験が物語理解、帰属推論、記憶想起に加え対人感情や審美感情をはじめとするアフェクティブな反応喚起が関連し合いながら進行する統合的な認知過程であることを明らかにした。テキスト構造の計量分析による特徴づけをおこない、小説体験の認知モデル構築の基礎づけをおこなった。 次に審美感情のひとつである「かわいい」概念について日本語と中国語の比較分析をおこない、アフェクティブ・オントロジーの多言語化の試みとしての成果を得た。 さらに乳幼児における「笑い」行動を時間的、空間的に近接した手がかりで分類するシステムを改善し、感情の発生的起源についてモデルを構築した。 (3)アフェクティブ・テクノロジーを生み出す経営 アフェクティブな技術製品・サービスを生み出す企業に必要とされる経営の要因を抽出した。さらにこれを評価するためのツールの開発を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究計画・方法」のPhase3まで順調に達成し、最終年度のPhase4を残すのみとなっている。さらにアフェクティブ・テクノロジーをつくり出すための経営に必要な視点として「アフェクティブなマネジメント(経営)」という概念を新たに提案し、このテーマについての研究も進め結果を得つつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は本研究課題の最終年度として、前年度までに得られた成果に基づいて(1)アフェクティブ・テクノロジーの設計方法の構築と提言、(2)設計要因と感情反応の関連の個人差、(3)アフェクティブ・テクノロジーの応用、(4)アフェクティブ・テクノロジーを生み出す経営、のそれぞれのテーマについて研究を進める。さらにこれまで得られた研究成果を国際会議において世界の研究者コミュニティに対して発表しフィードバックを得る。これらを踏まえた上で最終研究報告書を作成する。
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Research Products
(13 results)