Research Abstract |
口腔内にRFIDを設置,携帯電話と連携し,電子決済など高いセキュリティを要求される局面でも確実で素早く認証,加えてRFIDに体温や血糖値を計測するセンサーを組み込み,生体情報をモニターして糖尿病などの生活習慣病の予防や治療を支援するシステムの基礎的実証を行う.本年度は血糖値計測を念頭としたRFID構築の前提条件として,その実質的なボリュームの大半を占め,形態・構造のメインと成るアンテナ部をチタニウム製にて試作することを試みた.このRFIDは歯周組織内部への設置が見込まれる事から,その形状を現在の歯周組織再生誘導膜(バリアメンブレン)に近似するのが適当と思われることから,アンテナとして薄膜チタニウムを成形することとした.その結果,バリアメンブレンをモデルとした薄膜チタニウムは,現状のポリマー製のものより大幅に菲薄化(400→50ミクロン)することが可能であり,これを歯周組織再生用として用いることで,歯周治療への効果も併せて実現することも着想した.そこで薄膜チタニウムによる薄型アンテナ形成とともに,バリアメンブレンとして必要な細胞隔壁フィルター機能を設けるため,純チタンを対象とした超精密試験加工を実施した.まずミクロンレベルの穿孔加工として,マイクロピアス穿孔加工を行い,φ20μm,ピッチ50μmにて2500穴の形成を試み,90%以上の歩留まりを達成した.次に,純チタニウム微粒子とつなぎ材による薄型コンパウンドに微細な硬針を用いて直径100ミクロン以下の貫通孔を形成,これを繰り返してメッシュ状とした上,つなぎ材の焼却と不活性ガス雰囲気下における純チタニウム微粒子の焼結形成を行った.これらの精密加工によっていずれも,微細なポアサイズの貫通孔が密に確保され,メッシュ状のフィルター構造が再現された純チタニウム薄膜フィルターが形成され,またこれらは細胞培養による検証により良好な生体親和性を有することが確認された.
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