2009 Fiscal Year Annual Research Report
サハリン石油開発を考慮した航行リスクエリアと火災・流出油影響評価に関する研究
Project/Area Number |
21310111
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Research Institution | Geological Survey of Hokkaido |
Principal Investigator |
濱田 誠一 Geological Survey of Hokkaido, 海洋地学部, 研究職員 (70446376)
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Keywords | 油汚染 / ハザードマップ / 火災 / 防災 / 海洋保全 |
Research Abstract |
本研究は、本格的な生産体制となったサハリンの原油ガス生産活動に関連し、北海道近海において危惧される油流出事故を具体的に想定するため、宗谷海峡周辺の船舶航行危険度を評価する手法の確立と、想定される危険域からの油流出にともなう沿岸への環境影響について実証試験を含めて明らかにすることを目指している。 研究初年度の平成21年度は、宗谷海峡における船舶航行状況についてAISを用いて蓄積し、AISによる航行リスクの抑制と管理を先駆的に行っている北欧諸国等から研究者を招聘し、専門家会合を開催した。また油濁海水のホタテガイへの影響を評価するため、実際のホタテガイを油濁水に暴露させる実験や、サハリン原油の物性特性実験を実施した。 宗谷海峡の船舶から発信されるAIS情報の収集活動では、宗谷岬の宗谷漁協の協力を得て、タンカーやLNG船を含む各船舶から発信されるAIS電波を受信し、宗谷海峡において航行密度が高く衝突確率が高いエリアを解析し、衝突確率分布図を作成した。また状況が把握しにくい、サハリンの原油LNGの輸送状況について、把握が可能であることを明らかにした。 AISの専門家を招聘した専門家会議では、フィンランド・エストニア・ロシア・台湾から専門家を招聘し、網走市においてAISを活用した航行リスク抑制に関する報告会を実施し、資料集としてまとめた。 ホタテガイを用いた油濁水の影響実験では、ホタテガイに影響が現れはじめる濃度を検討するため、0ppmから100ppmの濃度の油濁水をホタテガイに暴露し、その影響を調べた。50ppmの濃度から死亡個体が現れ、100ppmでは半数以上が死亡した。また生残したホタテガイについては、ひきつづき垂下養殖を行い、翌年の産卵活動への影響を調査している。垂下養殖中のホタテガイは今年度水揚げされ、卵巣サイズの測定などを行う。 以上の調査等を実施し、実際の事故の想定と油濁の2つの側面から影響評価を進めている。
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Research Products
(10 results)