2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21310136
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有本 博一 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (60262789)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | バンコマイシン耐性菌 / 抗生物質 |
Research Abstract |
抗生物質開発と薬剤耐性菌出現は、しばしば「いたちごっこ」と揶揄されてきた。しかし、新しい抗生物質の発見,開発は近年極端に減っており、このままでは「いたちごっこ」の継続はおろか、感染症の制御自体が困難になる危惧がある。本研究課題では、バンコマイシン耐性菌(VRE/VRSA)に有効な化合物を創製して、感染症の制御に貢献することを目指した。 本年度は、前年度に引き続き、バンコマイシン二量体の抗菌活性発現に必要な配座の解明を目的に研究を行い、国際誌に発表した。他の研究グループを含め、従来報告されている二量体は1本のリンカーを含む。配座自由度が非常に高いため、通常の医薬化学研究では当然検討されるべきファーマコフォアーについて知見が得られていなかった。本研究では2本のリンカーを用いて配座自由度を制限した環状二量体を合成し、その構造活性相関を調べた。その結果「back to back」配座を取りうることが、バンコマイシン耐性菌に対する抗菌活性発現に重要であった。これらの結果は、活性発現に必要な最小ユニットの同定や、より分子量の小さい誘導体のデザインに資すると考えられる。 一方、バンコマイシン耐性菌特有の細胞壁生合成中間体であるデプシリピドIIの化学合成に成功して論文発表した。この中間体は、細菌から大量に単離精製することが困難であった。本課題における化学合成法開発は、生化学的研究に大きく資するものである。精製した酵素S. aureus PBP2を用いてデプシリピド中間体からin vitroにおいてペプチドグリカンを合成し、その反応速度を計測した。PBP2は、本来の基質であるリピド中間体と同等の効率でデプシリピド中間体を利用することができた。このことは、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌において、PBP2が主たるペプチドグリカン合成酵素であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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[Journal Article] Elucidation of the active conformation of vancomycin dimers with antibacterial activity against vancomycin-resistant bacteria2012
Author(s)
Nakamura, J.; Yamashiro, H.; Hayashi, S.; Yamamoto, M.; Miura, K.; Xu, S.; Doi, T.; Maki, H.; Yoshida, O.; Arimoto, H
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Journal Title
Chemistry - A European Journal
Volume: 18
Pages: 12681-12689
DOI
Peer Reviewed