2010 Fiscal Year Annual Research Report
フラボノイドの高機能化に関わるプレニル化酵素遺伝子ファミリーの機能解剖と酵素工学
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21310141
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢崎 一史 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (00191099)
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Keywords | プレニル基転移酵素 / フラボノイド / ポリフェノール / イソプレノイド / 酵素工学 / 代謝工学 / クララ / ホップ |
Research Abstract |
天然には約1000種類ものプレニル化ポリフェノールが存在し、様々な生理活性を持つことから、多くの研究者の興味の対象となっている。その生合成上の鍵酵素である芳香族のプレニル基転移酵素は、30年以上の長きに渡り不明とされてきた。最近、研究代表者はマメ科のクララを材料にフラボノイドのナリンゲニンをプレニル化する遺伝子SfN8DT-1をクローングし、これを切っ掛けに本酵素ファミリーの機能と全貌を明らかにすべく、研究を進めている。 今年度は、リソースを増やすことを目的に、アサ科のホップ、及びトウダイグサ科のオオバギから、それぞれフロログルシノール及びフラバノンをプレニル化する酵素遺伝子の取得を試みた。ホップから得られたHlPT-1は、昆虫の培養細胞に発現させてその活性を調べた結果、ホップの苦味成分であるα酸やβ酸の生合成に関わるプレニル基転移酵素であり、フロログルシノール系の芳香族基質を広くプレニル化する活性を持つことが示された。このクローンは、他のフラボノイドプレニル化酵素とはかなりアミノ配列の類似性が低く、酵素機能と分子進化について興味が持たれる。オオバギに関しても、EST解析データを元に5種類の候補cDNAを単離した。その内、2種類に関して、現在予試験的なデータではあるが、フラボノイドをゲラニル化する活性があることを見いだしている。特にこのオオバギには、フラボノイドのB-環がゲラニル化されているものが多く含まれており、B-環特異的なプレニル基転移酵素の取得が期待されている。現在詳しい酵素機能の解明を行っている。 もう一つのトピックとして、プレニル化される芳香族にクマリンがあり、今回レモンを材料にして、クマリンのプレニル化酵素遺伝子の候補を1種単離することができた。クマリンのプレニル化酵素はこれまでクローニング例が無く、新規な遺伝子として、更なる解析が期待される。
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