2009 Fiscal Year Annual Research Report
化学合成DNAセンサーを用いたDNA修復の検出および解析
Project/Area Number |
21310142
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩井 成憲 Osaka University, 基礎工学研究科, 教授 (10168544)
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Keywords | DNA損傷 / DNA修復 / オリゴヌクレオチド / 蛍光プローブ |
Research Abstract |
DNA修復の研究には放射性同位元素で標識した基質が用いられ、酵素反応はゲル電気泳動により生成物を分離した後、生成物の放射線を検出・定量することにより解析されてきた。しかし、この方法は操作が面倒である上に放射性同位元素の使用における規制や危険性もあるため、本研究では修復反応の蛍光による検出・定量法の開発を試みた。今年度は塩基除去修復を研究対象とし、蛍光色素とクエンチャーを両末端に付けた損傷塩基を有するヘアピン型オリゴヌクレオチドを設計・合成した。このプローブは反応温度(37℃)においてヘアピン構造を形成するため蛍光を発しないが、塩基除去修復酵素により鎖切断を受けると蛍光色素が付いた断片の塩基対数が少なくなって解離し、蛍光が検出されることを期待した。損傷塩基としてチミングリコールの二つの異性体と5,6-ジヒドロチミン、酵素として大腸菌エンドヌクレアーゼIIIとヒトNTH1を用いて実験を行ったところ、期待どおり酵素量や反応時間に従って蛍光強度が増大し、蛍光強度の変化で示される各酵素の基質特異性は従来法により報告されたものと一致した。また、損傷塩基の種類により蛍光色素を変えるごとにより、2種類の基質が同時に存在する場合のそれぞれの基質に対する酵素反応を別々に解析することにも成功した。このプローブをHaLa細胞抽出液と混ぜるとエキソヌクレアーゼによると考えられる非特異的な分解が検出されたが、酵素-基質複合体の結晶構造から酵素の結合に必要と考えられる部分以外のリン酸ジエステルをフォスフォロチオエートに変えると的細胞中で安定であることが確認された。損傷塩基として5R-チミングリコールを有するフォスフォロチオエート修飾のプローブを用いることにより、HeLa細胞中での塩基除去修復の蛍光による検出に成功した。この塩基除去修復用の蛍光プローブは、分子細胞生物学のツールとしての使用が期待される。
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Research Products
(4 results)