2010 Fiscal Year Annual Research Report
化学合成DNAセンサーを用いたDNA修復の検出および解析
Project/Area Number |
21310142
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩井 成憲 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (10168544)
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Keywords | DNA損傷 / DNA修復 / オリゴヌクレオチド / 蛍プローブ |
Research Abstract |
DNA修復の研究には^<32>Pで標識した基質が用いられ、酵素反応はゲル電気泳動により生成物を分離してその放射線を検出・定量することにより解析されてきたが、操作が面倒である上に放射性同位元素の使用における規制や危険性もあるため、修復反応の蛍光による検出法の開発を試みた。昨年度は酸化損傷に対する塩基除去修復酵素である大腸菌エンドヌクレアーゼIII及びヒトNTH1の反応を検出する蛍光プローブを合成して反応の解析を行い、フォスフォロチオエート修飾によりヌクレアーゼ耐性をもたせて細胞中での反応の検出に成功した。しかし、今年度の研究において細胞中での実験に再現性がないことがわかったのであらためて検討した結果、蛍光色素のリンカーと隣のヌクレオシドの間のリン酸ジエステルをフォスフォロチオエートに替えると損傷特異的な発光が見られた。これはこの部分が細胞中で加水分解されたことを示唆しているが、細胞抽出液を使用した実験ではその部分の切断は見られなかったので、この結果は細胞抽出液を用いて細胞中の現象を完全に再現できないことを示している。次に、ヌクレオヂド除去修復(NER)についても蛍光プローブの合成を試みた。まずこの修復系の基質となる最少の塩基対数を見つけるために^<32>Pで内部標識した(6-4)光産物を有する100~140塩基対のDNAを調製し細胞抽出液を使ってゲル電気泳動によりNER反応を解析した結果、140塩基対のDNAが効率的な反応が起こる最短の基質であった。140塩基対のDNAの末端に蛍光色素とクエンチャーを付けても切断後の解離が起こらないと考えられたので、内部の塩基にとれらを付けた蛍光プローブを合成した。色素等の付加がNER反応を阻害しないことは^<32>P標識を使って確認することができたが、蛍光測定では損傷を入れていないネガティブコントロールのDNAも細胞抽出液により分解されるという結果になった。
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Research Products
(2 results)