2011 Fiscal Year Annual Research Report
感染部位環境に着目した評価系を用いる抗結核物質の探索と新規薬剤標的の開拓
Project/Area Number |
21310143
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒井 雅吉 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (80311231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 資正 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (40116033)
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Keywords | 感染症 / 結核 / 抗生物質 / 活性天然物 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
本研究では、独自に構築した結核菌感染部位とその微小環境での菌の性状に着目した評価系を利用し、海綿を中心とする底生海洋生物の抽出エキスライブラリーおよび海洋由来微生物の培養物ライブラリーから、新規抗結核剤のシーズを探索する。またケミカルバイオロジーの手法を基盤にその作用メカニズム解析を行い、結核に対する新しい薬剤標的を見出すことを目的としている。 今年度は研究計画に従い、低酸素培養により潜在状態を誘導したMycobacterium smegmatisまたはM.bovis BCGに抗菌活性を示す化合物の探索、バイオフィルム形成阻害物質の探索を継続して行うとともに、前年度、M.fortuitumとショウジョウバエ由来S2細胞との細胞感染モデルを応用して構築した評価系を利用して、独自に保有するライブラリーを対象にスクリーニングを実施した。その結果、沖縄産海綿のメタノール抽出エキスから、低酸素環境下でも抗菌活性を示す新規デプシペプチドを、海洋由来真菌の培養抽出物から新規ペプタイボールを発見した。また、海綿由来のセスタテルペンophiobolin類にバイオフィルム形成阻害活性を見出した。一方、活性物質の作用メカニズム解析では、バイオフィルム形成を阻害するdesferrioxamine Eが、培地中の鉄イオンとキレートを形成することにより阻害活性を示すことを明らかにするとともに、活性天然物を利用して、鉄イオンがMycobacterium属細菌のバイオフィルム形成に必須であることを証明した。さらに、前年度までにMycobacterium属細菌のATP合成を阻害することを明らかにしていたリポペプチドtrichoderin類については、その結合タンパク質の候補が、結核菌のATP合成酵素を構成するAtpB,E,FまたはHのいずれかであることを明らかにした。
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