2011 Fiscal Year Annual Research Report
スクアリン酸含有アミノ酸のペプチドへの自在導入法の開発と新規ペプチドの機能
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21310145
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
品田 哲郎 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30271513)
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Keywords | アミノ酸 / スクアリン酸 / ペプチドアナログ / 繰り返し連結 |
Research Abstract |
ペプチドは生命の維持機能を支える生体分子である。ペプチドを構成している天然アミノ酸のかわりにアミノ酸アナログを導入できれば、従来にない機能を持ったペプチドを使ったさまざまな研究展開が期待できる。本研究では、我々が独自に開発したスクアリン酸含有アミノ酸を自在にペプチドに組み込む方法の開発から、新しいペプチドアナログを提供すること、ならびに、新規ペプチドの機能明らかにすることを目指している。前年度までに固相での新規ペプチドの創製として、Fmoc法の適用によるスクアリン酸含有アミノ酸を1つを含むペプチドライブラリー合成を試み、81種類のアナログ含有ライブラリーが構築できたことを報告した。本年度は、より多くのASQがペプチドに含まれるタイプのアナログ合成研究を実施した。 (1)スキップ型アナログ合成 ジペプチドユニットとしてFmoc-NH-Gly-ASQ-OiPrを用い、これを繰り返し連結することによってスクアリン酸含有アミノ酸が一つ飛びに配置されたスキップ型アナログの合成を試みた。しかしながち、スクアリン酸含有アミノ酸残基上に活性水素が残存すると、連結は上手く進行せず分解反応が競合していることがわかった。「そこで、活性水素の等価体としてt-BuOOC-を活性水素代替えとする連結を試みた。現在、t-BuOOC-を保持したジペプチド型アナログを用いた連結に成功しており、続く、スクアリン酸によって加速される脱炭酸による、脱t-BuOOC-からの目的物合成を検討している。 (2)ASQのみからなるアナログ合成 Fmoc-ASQ-OiPrの脱Fmoc化は分解物を与えた。そのため、その合成前駆体として液相でのペプチド化で実績があるヒドロキシシクロブテノン体を用いて連結を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の大きな目標であるライブラリー構築を達成できたことは大きな前進である。その発展形であるスクアリン酸含有アミノ酸を複数組み込んだペプチドアナログ合成も、液相中での合成がほぼ達成できている。自在合成法の確立に向けての順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
スクアリン酸含有アミノ酸を複数有するペプチドアナログの合成は、スクアリン酸含有アミノ酸を一つ含むペプチド合成の反応条件がそのまま、適用しにくいケースが生じている。その点を直ちに改善し、目的物の合成を達成することが急務の課題である。また、生物活性試験を拡充することや3次元立体構造の解析を併せて進めていく。
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