2010 Fiscal Year Annual Research Report
マクロライド系リガンドによる持続的な抑制性グルタミン酸受容体活性化現象の構造基盤
Project/Area Number |
21310147
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松田 一彦 近畿大学, 農学部, 教授 (00199796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾添 嘉久 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (80112118)
岡島 俊英 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (10247968)
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Keywords | Ivermectin / Milbemycin / Glutamate-gated chloride channel / Photoaffinity porbe / Binding assay / COS-1 / Xenopus laevis oocytes |
Research Abstract |
本研究の目的は、イベルメクチン(IVM)、ミルベマイシン(MLM)などのマクロライド系化合物の活性発現機構を構造面から明らかにすることである。これらの化合物と相互作用するグルタミン酸作動性Cl^-チャネル(GluCl)のアミノ酸を同定するために、捻転胃虫由来のGluClサブユニット(HcGluClα3Bとα)に部位特異的変異を導入し、それぞれのホモチャネルをCOS-1細胞に発現させた。α3Bチャネルにおいては、N-末細胞外ドメインのアミノ酸を変異させたD220A, L222AおよびL256Aで特異的[^3H]IVM結合量が低下した。L256ではAよりもF、Y、およびW置換によって大きな低下がみられた。また、細胞外ループのP316とP317を変異させても特異的結合量が大きく低下した。しかし、αチャネルで同等部位を変異させた場合は、大きな影響を与えないアミノ酸もあり、α3Bとαチャネルでは相互作用するアミノ酸が違うことが推察された。つぎに、光親和性ブローブ2種を合成しGluClに対する親和性を調べた。これらは、HcGluClα3Bに対して数nM、カイコ由来のGluClに対して数十nMの親和性を示した。 カイコGluClについては、遺伝子から生じるスプライスバリアントのうち脳で最も発現量の多いバリアントをアフリカツメガエル卵母細胞に発現させ、イベルメクチンとの相互作用に関わる構造要因について調べた。その結果、捻転胃虫のGluClと同様な構造因子が受容体のイベルメクチン感受性の決定に大きな役割を果たしていることが明らかとなった。 さらに本研究では、昆虫細胞等でのGluClの発現を最適にする要因についても検討し、研究で使用しているGluClの構造に特定の変異を加えることで、受容体が著量膜に移行することも見出した。これらの成果は、いずれも先駆的な成果であり、最終目標の達成に向けて基盤をなした。
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Research Products
(8 results)