2010 Fiscal Year Annual Research Report
里湖湖岸域希少植物のユビキタスモニタリング/ジェノタイピングによる生物多様性評価
Project/Area Number |
21310152
|
Research Institution | Lake Biwa Environmental Research Institute |
Principal Investigator |
金子 有子 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 専門研究員 (90280817)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 壮則 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (80206755)
瀬戸口 浩彰 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 准教授 (70206647)
|
Keywords | 2倍体植物 / 遺伝的多様性 / 集団遺伝解析 / 集団動態 / 絶滅確率 / 貴重植物 |
Research Abstract |
環境省・近畿地方・滋賀県の最新版レッドリストに掲載されている琵琶湖湖岸域の二倍体植物17種のうち、草本植物5種、木本植物2種を対象として、(1)各種集団の系統遺伝地理・遺伝的多様性、(2)各種集団の集団動態、の解析を目的として平成22年度は下記を実施した。 (1) ハマエンドウの核のSSR多型解析を行うために、8遺伝子座を開発し、成果をConservation Genetic Resourcesに投稿した。ハマゴウ、オニナルコスゲ、ノウルシ、タコノアシ、オオマルバノホロシについてもそれぞれ3-5遺伝子座のSSRマーカーを開発した。遺伝解析に有効な遺伝子座のそろったハマエンドウについては、琵琶湖湖岸のハマエンドウの全5集団と、海岸の45集団を対象に、葉緑体DNAハプロタイプと核のSSR多型解析を行った。その結果、次の3点が明らかになった:1.琵琶湖の集団の遺伝的多様性が、海岸の集団に比べ著しく低いこと、2.琵琶湖の集団が海岸から長期間隔離を受けている可能性があること、3琵琶湖の現存集団は相互に隔離されていること。これらの結果は、AOB Plantに投稿した。また、10以上の有効なSSRマーカーを開発済みのタブノキ、ヨシについて、琵琶湖湖岸域の全40集団と国内他地域の20および24集団を対象に、遺伝解析や倍数性解析を行った。その結果、ヨシでは琵琶湖の集団の遺伝的多様性が、国内他集団に比べて著しく低いこと、タブノキでは琵琶湖流域の内陸集団は若狭湾方面より伊勢湾方面の海岸集団と遺伝的に近いこと等が明らかになった。これらの成果は一部を4回の学会発表で公表し、プライマーノート3件は投稿準備中、Plant Species Biologyに1件投稿中である。 (2) 研究対象17種全種について、全個体・全株の位置・生育面積等の情報のGISデータ化を完了した。また、数理モデル・コンピュータシミュレーションプログラムの開発を目的とし、動態予測・絶滅確率を推定するための集団動態パラメーターを推定するため、17種の既存文献を194件収集した。
|