2009 Fiscal Year Annual Research Report
心と行為の哲学的分析による倫理的諸概念の解明―モラル・サイコロジーからの接近―
Project/Area Number |
21320009
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
成田 和信 Keio University, 商学部, 教授 (30198387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 哲也 立教大学, 文学部, 教授 (60384715)
柏端 達也 千葉大学, 文学部, 准教授 (80263193)
エアトル ヴォルフガング 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (30407150)
福間 聡 東京大学, 人文社会系研究科, 特任研究員 (40455762)
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Keywords | 自律 / 規範 / 実践的推論 / 行為の合理性 / 幸福 / 欲求 / 徳 / 実践理性 |
Research Abstract |
本研究は、(1)道徳的規範の実在性と規範的理由の存立条件、(2)実践的推論と行為の合理性(3)自律、(4)幸福(福利)、(5)徳という問題群に分け、それぞれを研究代表者・分担者が担当して、絞った研究も進めている。21年度は、5回の研究集会を開催し、研究代表者・分担者に加えて、研究協力者ならびに海外からの招聘研究者による研究が報告され、意見交換を行った。問題群(2)に関しては、実践理性と非難可能性に関するNorman Dahl(ミネソタ大学)による研究報告、金杉武司(高千穂大学)による自己知と合理性に関する知識提供、ケアと行為に関する早川正祐(東京大学)報告がなされ、実践理性の多様性と複雑さが明らかになった。(3)に関しては、責任と平等に関する井上彰(東京大学)の研究報告、自由と責任に関する佐々木拓(京都大学)の研究報告によって、行為にいたる心的プロセスと自律や責任との関係に関する問題提起がなされた。さらに、(4)に関しては、成田和信(慶應義塾大学)による(幸福に関する)欲求実現説への批判、死後の利害に関するGeoffrey Scarre(ダーラム大学)や福間聡(東京大学)による報告によって、欲求実現説の限界と可能性が検討された。 以上のような報告とそれに伴う意見交換をへて、行為へのプロセスの心理的過程の哲学的分析、その過程における実践理性の役割、さらに、欲求や意志の哲学的分析の重要性が浮き彫りになった。その成果をさらに発展させ、22年度において研究分代表者・分担者ならびに協力者は、研究成果を論文や学会報告の形で公表する努力を続ける。また、(1)と(2)に関しては、22年度にとくに力を入れて、研究報告ならびに意見交換を行う予定である。
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Research Products
(13 results)