2010 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・ディアスポラの転向体験―接触空間と植民地主義
Project/Area Number |
21320022
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
緒形 康 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (40194427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉指 信雄 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (20264921)
田中 康二 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (90269647)
樋口 大祐 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (90324889)
濱田 麻矢 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (90293951)
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Keywords | ディアスポラ / 接触空間 / 植民地主義 / 帝国 / 1930年代 |
Research Abstract |
1930年代帝国日本における転向は、共同研究『転向』が「近代日本社会の構造の総体的な把握に失敗したことから生まれた思考変化」と名付けて以来、多義的な意味が注目されるようになった。それは、台湾、朝鮮、満洲国など植民地広域圏の「親日派」「漢奸」の動きとも密接に関連している。転向体験は、共産革命から伝統日本への回帰として起こると同時に、台湾人と朝鮮人の土着文化からの切断や、満州国に移住した日本・台湾・朝鮮の人々のアイデンティティー危機という形でも起こった。本研究は、帝国日本の国民統合が進むにつれて社会や地域から疎外されたこうした人々をアジア・ディアスポラと名付けた上で、転向体験を国家や社会から地域・個人のレベルへと拡大し、1930年代帝国日本における転向という受難の体験を、日本人とアジア・ディアスポラの共通体験と捉え直した上で、再検討を加えるものである。 研究2年目である平成22年度は、「言説分析チーム」「口述歴史チーム」「理論動態チーム」がそれぞれ個別研究を進めた上で、10月・11月に、華東師範大学思勉人文高等研究院の許紀森、楊国栄の2教授をお招きして、1930年代の東アジアにおける共産革命や近代化の動きと転向との内在的関連をめぐって共同討議を行った。また、そうした研究や討論に並行して、2010年5月に、韓国釜山市においてアジア・ディアスポラに関する社会調査に従事した。
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