2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヴィクトリア朝以降の英国ナショナル・アイデンティティ構築に関する融合的研究
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21320055
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丹治 愛 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90133686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 克之 北海道大学, 大学院・メディア・コミュニケーション研究科, 教授 (00189268)
草光 俊雄 放送大学, 教養学部, 教授 (90225136)
冨山 太佳夫 青山学院大学, 文学部, 教授 (70011377)
アルヴィ・宮本 なほ子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (20313174)
中井 亜佐子 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 准教授 (10246001)
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Keywords | ナショナル・アイデンティティ / イングリッシュネス / ナショナリズム / 帝国主義 / 他民族国家 / ポスト・コロニアリズム |
Research Abstract |
本研究は、ヴィクトリア朝以降、英国のナショナル・アイデンティティがどのような歴史的コンテクストのなかで、どのようなかたちに構築され、そして変更を加えられていったかを現代までたどる試みであると同時に、その歴史のなかでそれぞれの代表的な文学作品のいくつかを具体的に解釈していこうとする試みである。 3年目となる平成23年度は、7月にハーヴァード大学准教授、アンドルー・ウォレン氏を招いて、国際コールリッジ学会国際大会において、"Coleridge,Philosophy,Orient"というタイトルで講演をしてもらい、また、東京大学においては意見交換の機会をもつことができた。また、9月には、北海道大学で4日間の研究会を開催し、西川、浜井、原田が「帝国主義とリトル・イングランディズム」と題するワークショップを行い、丹治が「イングリッシュネスの風景」という主題のもと、「ジェイン・オースティンと風景 ピクチャレスクからイングリッシュへ」という講演を行い、さらに草光と丹治が中心的報告者となって、イングリッシュネスの主題にそってKeith Thomas, Man and the Natural Worldについての読書会も行った。 それとは別に個々のメンバーがさまざまな機会を利用して、自分の研究をまとめ、その成果を発表した。詳細については業績表の記述に譲るが、それを総合すれば、18世紀後半から20世紀の後半まで、すなわち、産業革命以前の田園のイングランドの時代から、都市化と産業化していく連合王国の時代へ、そして大英帝国の時代をへて、ポスト植民地主義時代の英連邦の時代へとイギリスがさまざまなナショナル・アイデンティティの諸相をたどっていくなかで、イングリッシュネス概念がそのナショナル・アイデンティティとの緊張した関連のなかでどのように構築されていったかをあつかうことになったと言えるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に研究が進んでいると判断している。18世紀末から20世紀末まで、もちろん深くあつかえない時代もあるが、ヴィクトリア朝を中心に据えながらその前後のナショナル・アイデンティティの諸相を網羅的に研究の対象にできている。また、文学研究、歴史研究、思想研究といった複数の研究を融合しつつ、それぞれの分野のメンバーが相互に刺激を受けることができているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる来年度は、イギリスからふたりの研究者を招くことで新しい観点を導入するとともに、時代が進むにつれて変容していくさまざまなナショナル・アイデンティティの諸相と、そのなかで構築されていくさまざまなイングリッシュネス概念に関する個々のメンバーの研究を総合していくことになるだろう。
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Research Products
(17 results)