2010 Fiscal Year Annual Research Report
他文化=多文化への眼差し-コウルリッジとロマン主義文学における異文化間交渉の位相
Project/Area Number |
21320058
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大石 和欣 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (50348380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 朗子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (60316031)
笹川 浩 中央大学, 商学部, 教授 (30235288)
DAVID Vallins 広島大学, 文学研究科, 教授 (70403623)
藤井 佳子 奈良女子大学, 文学部, 非常勤講師 (70379527)
勝山 久里 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (00351362)
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Keywords | コウルリッジ / オリエント / 他文化 / 異文化交渉 / 多文化 / イギリス・ロマン主義 / 哲学 / 美学 |
Research Abstract |
本年度は、コウルリッジおよびロマン主義文学における他=多文化のまなざしについて、大石が統括しながら、哲学領域では笹川と和氣、美学領域では吉川と勝山とヴァリンズが中心となって研究を進めた。また、昨年度から継続して宗教・思想を直原、藤井、和氣、園田が、オリエントとの関係をアルヴィが究明した。5月と2月に研究会を開催し、2011年7月に主催予定の国際学会の準備および研究発表について意見交換を行った。 哲学領域においては、ロック、バークリー、デカルト、スピノザ、ライプニッツなどの哲学が、未完に終わった『ロゴソフィア』においてどのような力動哲学として展開されるべきか、カント以後のドイツ観念主義における美の理論の展開に果たしたコウルリッジの役割を明らかにしつつ、空海の芸術論やショーペンハウエルの美の理論との関係性を見出した。また、オリエントのイメージが濃厚な詩"Kubla Khan"を軸にして、中国使節団の旅行記や記事との関連性を考察しつつ、コウルリッジ作品における庭のイメージを、文化的・社会的・政治的文脈に照らし合わせて再解釈した。さらに、コウルリッジの"clerisy"論と儒教の思想の類似性、後期の著作Aids to Reflectionにおける神学の特質がアメリカ合衆国に受け入れられていった過程についても考察を進めた。「毒の木」として知られていたジャワ原産のウパスが東洋のイメージとしてロマン主義作品に登場する意味についても明らかにした。いずれのテーマについても学会での研究発表を試みるか、論文として活字化することで、成果発表の形で公表した。
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Research Products
(21 results)