2010 Fiscal Year Annual Research Report
14-16世紀イギリスの写本、印刷本を対象としたデジタル書物学的研究
Project/Area Number |
21320059
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松田 隆美 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (50190476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 聡子 慶應義塾大学, 文学部, 助教 (60453536)
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Keywords | 西洋期刊本 / 活字認識 / 西洋中世写本 / 書物史 / XML / キャクストン / デジタル化 / 時〓書 |
Research Abstract |
英語版とフランス語版双方の『羊飼いの暦』に関して、同時期に刊行された印刷本の時〓書との比較研究を行い、両者の間に、テクストと挿絵を中心としたパラテクストの両面に共通性が存在することを明らかにし、この2つのジャンルの書物が、キリスト教の基本教理や実践的知恵を相互補完的に提供する、緊密な関係性のもとに受容されていたことを国際学会における研究発表で論じた。 近代初期にヨーロッパで刊行されたギリシャ・ローマ神話学関連図書約100点について、詳細な書誌記述と過去の所有者における書き込み等の調査をおこない、書誌を作成するとともに成果を論文にまとめた。 14-16世紀のポピュラーな書物-特に工房生産の時〓書、写字生が挿絵も担当した英語の宗教文学写本、印刷本の時〓書や『羊飼いの暦』などの挿絵入り初期刊本-の同時代的受容について、テクスト本文と挿絵の相互補完性、パラテクストとテクストの関係性、写本のコンテクストがテクスト解釈に与える影響を中心にまとめ、単行本として刊行した。特に挿絵が平信徒の読者によっていかに「読まれた」かを具体的に分析することで、中世後期から近代初期のイギリスおよびフランスにおける書物のポピュラリティを読者層との関係で論じた。 キャクストン印行『カンタベリー物語』初版のデジタル画像研究については、画像認識結果の誤認識結果の検討と修正、タグの検討など、XMLによるデジタルエディション作成の準備を進め、査読付き学術誌へ論文を投稿した(現在審査結果待ちである)。
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