2010 Fiscal Year Annual Research Report
『コロニラ』を中心とするポール・ヴァレリー後期作品草稿研究
Project/Area Number |
21320064
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田上 竜也 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (90327669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛場 暁夫 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (70118917)
大出 敦 慶應義塾大学, 法学部, 准教授 (90365461)
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Keywords | 仏文学 / ヴァレリー / 草稿研究 / コロニラ |
Research Abstract |
当該年度の主な成果は以下の通りである。 1、平成21年度に慶應義塾大学図書館の協力を得て作成した『コロニラ』の高精度デジタル画像記録データを基に、草稿現物とつき合わせながら、田上、牛場、大出の3名で校訂作業を関始した。 2、さらに田上に研究協力者の立仙順朗、田中淳一を加えた3名で翻訳作業を開始した。その成果の一端は平成22年7月に公刊された雑誌「三田文学」夏季号でのボール・ヴァレリー特集において、『コロニラ』中21篇の翻訳(立仙、田中)、作品解説(田上)、座談会「ヴァレリーのエロス」(田上、松田浩則[研究協力者]、清水徹)、論考(牛場他)という形で発表され、大きな反響を得た。 3、田上、大出を甲心として、翻訳への注付け作業を、並行的に進めた。そのために、田上がフランス国立図書館において草稿を調査し、とりわけ『コロナ』、『コロニラ』のマイクロフィルムや、ヴァレリーからヴォワリエ夫人に宛てた書簡を集中的に精読した。さらに『コロニラ』と同時代の『我がファウスト』関連草稿や、ヴァレリーがコレージュ・ド・フランスで行った「詩学講義」関連草稿をも調査し、特に後者については、翻訳および解説を平成23年度中に筑摩書房より、『ヴァレリー集成第III巻・詩学の探究』のなかで発表する予定である。 4、さらに上記のようなヴァレリー研究を発展させ、「詩学」や「エロス」といった問題系を同じくする同時代のフランス文学についての考究を深めるため、田上、牛場、大出に研究協力者の立仙順朗、田中淳一、松田浩則をまじえ、数回にわたる研究会を開催した。
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