2009 Fiscal Year Annual Research Report
先住民アイヌの立ち位置と日本「内地」-台湾原住民、パラオ先住民との比較研究
Project/Area Number |
21320072
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
李 建志 Prefectural University of Hiroshima, 人間文化学部, 准教授 (70329978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金川 由紀 平安女学院大学, 国際観光学部, 准教授 (50233846)
上水流 久彦 県立広島大学, 生物資源学部, 助教 (50364104)
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Keywords | 先住民 / アイヌ / ナショナルアイデンティティ / ナショナリズム / 移動 / 観光 / ライフヒストリー / 移民 |
Research Abstract |
本年度は、本研究に携わるおのおのが、自分の專門とすりあわせながら、掘り下げていく方向性を決めることができた。とくに、パラオに関しては、単に現在もパラオにいる人を対象にするだけでなく、戦前にパラオに移民していた日本人たちをも対象に加え、そのライフヒストリーを研究対象とすることにするなど、拡がりが見えた。移民から帰国してきた人たちを対象とした学術調査、なかんずく戦前の南洋移民の日本帰国後の調査活動は、今のところほとんどないといっていい状態であるため、これは相当に意義のある研究になるといえる。 また、台湾でも太魯閣(タロコ)族のインフォーマントから村へ入ってフィールドワークをすることを認めてもらえるなど、これからの研究で大きな収穫へとつながるものとなった。これら南洋や台湾での状況と、日本の先住民であるアイヌを比較するというのは、単に「少数者」であるという項によって比較するのではなく、日本人によって少数者へと追いやられた経験を共有しており、とくに台湾では今もなお先住民として排除されているという側面があるため、これからのアイヌ研究では必要な視点を提供できるはずである。もちろん、これらの調査結果は予定していた通り、今年度学会発表を行い、また学術論文として発表することが決まっている。 アイヌに関しては、文献収集が中心となってしまったが、言語を中心に、日本社会でのその立ち位置を測定することが目標となったが、北海道のアイヌコタンの観光化と、台湾原住民の観光化を中心に比較し、彼らのナショナルアイデンティティについて検討している。
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