2009 Fiscal Year Annual Research Report
クレオル化する地域文化の比較研究―オセアニアからアジアまで
Project/Area Number |
21320073
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
管 啓次郎 Meiji University, 理工学部, 教授 (00328965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 ひふみ 明治大学, 理工学部, 准教授 (20514152)
倉石 信乃 明治大学, 理工学部, 准教授 (10459993)
清岡 智比古 明治大学, 理工学部, 准教授 (60514148)
波戸岡 景太 明治大学, 理工学部, 講師 (90459991)
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Keywords | 比較文学 / 文化人類学 / 英米文学 / 外国文学 / 中国文学 |
Research Abstract |
平成21年度は、本研究の初年度にあたるため、フィールドワークおよび基礎文献の精査につとめた。まず、林研究員は台湾の南部での調査を行うと同時に、昨年度制作された映画『海角7号』の詳細な分析を行うことにより、日本の植民地支配以後の台湾における文化的変遷とその現在の姿を考察した。また、清岡研究員は、セカンド・ディアスポラとも呼ばれるクレオル文化の拡散状況を、モントリオールにおけるフィールドワークをとおして調査した。林、清岡のフィールドワークの過程は、それぞれに紀行文の体裁をとることで一般にも了解しやすいかたちでまとめられており、次年度の中間報告論集に掲載される予定である。さらに、倉石研究員と管研究員は、それぞれ沖縄地域とオセアニア地域にフィールドワークをしており、それぞれの資料映像を収集することで、次年度の論文執筆への準備を整えた。そして、波戸岡研究員は、アメリカポップカルチャーの、とくにヒップホップにおける言語実践の系譜を整理し、アメリカ合衆国におけるクレオル文化の広がりを調査した。これらの調査は、いずれもポストコロニアル研究の応用実践であり、しかしながら、未だ「クレオル」という定義との重なりはあいまいなままにされている問題系を扱っている。そのため、残りの二ヵ年のうちに、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、オセアニアの各地域の文化的混淆状況を、それぞれの特殊性を尊重しつつも、同時に「クレオル」という概念のもとにまとめ直すことは、国際的視野の拡充という意味でもきわめて意義のあることである。
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