2010 Fiscal Year Annual Research Report
クレオル化する地域文化の比較研究-オセアニアからアジアまで
Project/Area Number |
21320073
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
管 啓次郎 明治大学, 理工学部, 教授 (00328965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 ひふみ 明治大学, 理工学部, 准教授 (20514152)
倉石 信乃 明治大学, 理工学部, 准教授 (10459993)
清岡 智比古 明治大学, 理工学部, 准教授 (60514148)
波戸岡 景太 明治大学, 理工学部, 准教授 (90459991)
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Keywords | 比較文学 / 文化人類学 / 英米文学 / 外国文学 / 中国文学 |
Research Abstract |
本研究は、「クレオル化」をキーコンセブトとして、文化混淆、特にヨーロッパ系文化の進出による地域文化の変容を比較文化論的アプローチによって探るものである。本年度は、1、中国文化圏を担当する林ひふみ研究員(筆名・新井一二三)が、映画『海角七号』の舞台恒春の歴史を研究し、重層的植民統治が南台湾アイデンティティを形成した過程を詳細に検証した。2、フランス文化圏を担当する清岡智比古研究員は、移民地区を中心にパリを地誌的に研究し、文化的な棲み分けと混淆が、多層的に蓄積されている現状を分析した。3、沖縄文化圏を担当する倉石研究員は、沖縄戦および祭祀をめぐって展開される表象実践を検証するとともに、明治時代に植民地化された大東諸島の移民文化におけるクレオル性を考察した。4、アメリカ文化圏を担当する波戸岡研究員は、ヒップホップと都市空問の関係を詳細に検証し、相互の補完関係を発見した。5、最後に、管研究員はマウイ島、ハワイ島、カウアイ島を調査し、移民導入の歴史的契機となった砂糖黍プランテーションの痕跡を記録し検証した。これらの研究は、従来にはなかった多様性をもってクレオル研究に貢献するものと言える。各研究員の研究結果は学術的な論文による発表はもとより、一般に向けての成果の還元として、日本および海外での雑誌や、また、主要な新聞の連載というかたちでも発表された。このように、新たなる越境的比較地域文化論の確立を目的とする本研究は、今年度の各研究員によるフィールドワークの結果を踏まえ、より多層的かつ総合的な「クレオリザシオン」の現在形を示すことを可能にした。
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