Research Abstract |
本研究の目的は,言語系統の異なる日本語,英語,フィンランド語,クロアチア語の4言語を用いて,(1)解明されていない言語リズムとタイミングの問題を整理し過去から現在に渡り何が問題かを理論的に提起すること,(2)個別言語および言語間の韻律の音響特徴量を定量的に計算することで,普遍的な言語リズムとタイミングを明らかにする,というものである。 本年度は,(1)の課題に向けて,(1)既存の言語資料による言語リズムの概念を言語のタイミングとともに整理するために,応募前にすでに収集した資料を整理した。さらに,追加で必要な関係言語資料の収集を開始し,同時に整理も開始した。また,ほぼ同時に日本語,英語,フィンランド語,クロアチア語のリズムとタイミングに関係する先行研究についての資料収集および整理も開始した。これらの文献データも作成を開始した。 さらに,4言語比較のため,意味の弁別に長さ・ピッチ・音圧が関係する語彙を選択する作業を開始した。そのために,語彙のシラブル構造・語彙構造を整理しているが,これらの語彙データベースの作成も開始した。 本研究に関して,クロアチア語について当初予定していたドイツ,マンハイム大学だけでなく,ハイデルベルグ大学,さらには,スウェーデンのウプサラ大学にまで繋がるクロアチア語の言語音声研究者と連絡を開始することができた。助言してもらえる関係の構築を開始できた。 これらの作業の中で,気が付いた点は,言語リズムやタイミングの産出には呼吸が関係しているという生理面からの視点である。すなわち,呼吸は横隔膜の収縮により行われるが,発話には同じくこの作用が利用される。そこで,発話時の胸筋・腹筋の動きを呼吸ピックアップで計測してみた。結果,特に英語話者は日本人と比べて,胸筋・腹筋が句や文を単位として制御されていることが確認できた。さらに,この制御には十分長いポーズを置くことも明らかになってきた。これらの成果を研究発表した。
|