2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21320081
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
川越 いつえ Kyoto Sangyo University, 外国語学部, 教授 (30177662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪薗 晴夫 神戸大学, 大学院・人文学研究科, 教授 (80153328)
松井 理直 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 教授 (00273714)
田中 真一 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (10331034)
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Keywords | 促音 / 日本語 / 英語 / 外来語 / リリース / 知覚過程処理 / イタリア語 / 生起位置 |
Research Abstract |
日本語外来語に見られる促音の生起条件とその条件の背後にある言語学的原理を音声実験、音韻理論の両面から考察した。平成21年12月に促音ワークショップ(公開)を開催し、その成果を報告した。 1.英語で動詞形+接尾辞をもつ語彙が片仮名語化されると、動詞形のもつ促音が保持される場合と保持されない場合がある。この原因として動詞形のアクセント位置の違いが考えられる。片仮名語化の調査から、後者と同じアクセント位置で、促音を保持する場合があることが分かり、動詞形のアクセント位置は派生形の促音保持とは直接関係しないことが分かった。 2.促音は英語からの借用語には入りやすいが、韓国語からの借用語には入りにくい。この原因として尾子音における開放(release)の有無が考えられるため、開放の有無と促音知覚との関係を音響実験、知覚実験によって検証した。その結果、開放の存在は母音挿入率を大きく高める一方で、若干ではあるが促音知覚率をも高めることがわかった。 3.促音知覚を含め、知覚実験の結果を適切に解釈するためには、外界の物理情報と認知主体内部の心理情報との対応関係を明確にしておかなければならない。本年度は、促音知覚の基礎研究として、こうしたぶつり情報と心理情報の対応関係について研究し、両者がP=(1+exp(aT-bN)^<-1>として表現できることを証明した。なお、aTは対象の物理情報量を、bNは知覚を阻害するノイズ要因の量を示す。 4.借用語の促音は英語からのものが中心に分析されてきたが、音韻構造が英語と大きく異なるイタリア語から借用された語の促音生起を、コーパスと知覚両面から分析した。その結果、原語ごとの音韻構造が反映されるとともに、とくに位置や子音の種類に関して、借用する側(日本語)の音韻構造が促音の生起・非生起に関係することが明らかになった。
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