2011 Fiscal Year Annual Research Report
中近世移行期における賀茂別雷神社および京都地域の政治的・構造的分析研究
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21320127
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
野田 泰三 京都光華女子大学, 人文学部, 教授 (90335183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 敏子 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (80151520)
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Keywords | 賀茂別雷神社文書 / 賀茂六郷 / 中近世移行期 / 算用状 |
Research Abstract |
本研究の目的は、大量の新出史料が発見された賀茂別雷神社文書を体系的にデジタル撮影し、研究素材として学界に供することと、それをもとにした中近世移行期の賀茂社・賀茂六郷および京都地域に関する研究である。 H23年度は、引き続き東京大学史料編纂所スタッフの協力を得て、中世~近世初頭の諸算用状類、往来田指出・検地帳などの土地関係文書、武家書状類を中心にデジタル撮影を実施した。 H22年度までに公開に供すべき職中算用と土地台帳類の基本的な分は撮影でたため、H23度は賀茂六郷の土地所有・支配構造の解明など、各研究グループの分析素材として必要な個別史料の撮影に重点を置いた。 研究は基本的にグループごとに継続しているが、9,月には研究会を開催して各グループより3報告を得、問題関心の共有を図った。とりわけ金子報告(後掲)は、本科研の眼目である算用状を研究するうえでの基礎的な分析視角を提示したものである。 各メンバーの研究成果は後掲の通り、論文、著書、資料集として公表されているが、なかでも『大日本史料』第十編之二十七(天正二年雑載)は収録された史料の過半が本科研での成果物である。 また12月にも内々の勉強会をもち、志賀節子が売券類にみえる年貢・公事の負担・収取のあり方を分析することによって賀茂六郷の支配構造が解明できる可能性があるとの試案を報告しており、H24年度はこの方法を追求していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究終了後に公的機関で公開に供する画像データの作成という点では作業はほぼ順調に進んでいる(予算の削減により、当初予定した分量には至らないものの)。 研究面については、政治史班は後掲の研究報告・著書により成果の一部を公表した。在地班は、土地台帳、売券、年貢納状など照合分析すべき史料が分散しているうえに分量が膨大なため、検討素材の入手・整理・照合に時間を要し、さらに賀茂六郷の支配構造を分析する有効な方法・手法そのものを検討せねばならなかったため、具体的な分析は十分になされておらず、H24年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
画像データの作成(撮影)については、算用状・土地台帳の主要部分の撮影は終了したため、H24年度はその補充分および土地売券など別区分の古文書をまとまった区切りで撮影する。また賀茂社が所蔵する未紹介の旧社家文書(鳥居大路家文書、水木家文書)もあわせて整理・撮影する予定である。 研究面では、神事・祭祀については、上記旧社家文書の分析により新知見が得られる予定である。政治史班については、収集したデータに基づいて分析・研究を継続する。在地班については、これまでの検討の結果、ようやく有効な分析手法のめどがたったため、H24年度はその手法を用いて研究を実施する。 H24年度は本科研の最終年度であるため、収集した画像データの公開方法について検討するとともに、今後の研究の足がかりとなるよう、これまでの研究成果をとりまとめたい。
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Research Products
(10 results)