2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21320155
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Research Institution | Asian Cultural Exchange Center |
Principal Investigator |
赤司 善彦 Asian Cultural Exchange Center, 福岡県立アジア文化交流センター展示課, 研究員 (00446882)
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Keywords | 考古学 / 地理情報システム |
Research Abstract |
古代山城の研究は、主に城壁の構造比較や立地等を中心になされてきた。しかし、その元となるデータは1/2500の地形図に記された城壁線であった。地形図では、城壁線の把握が平面的で、また、城壁の構造まで含めて表示されることはなかった。その歴史的な役割を追求するためには、城壁構造や構築技法を、周辺地形との関わりで検討することが重要である。これにはGISによる遺構と遺跡立地の空間分析が有効であることから、その研究基盤を創設する研究に着手した。 21年度は、その端緒として、『日本書紀』665年条に築城記録がある九州北部の大野城と、基肄城を対象に、GPSによる城壁線の測量を行った。大野城については、航空レーザー計測による三次元データを取得した。併せて、1mメッシュのDEMと衛星オルソ画像を作成した。これに重ねることで土塁線の実際の走行状況も確認することが可能となった。そして、ハンディGPS機器による測量を実施した。その成果として、従来は、なだらかにしか表現されなかった土塁線を、微地形とともにその詳細な走行線を表示することができた。特に、丘陵鞍部に突出部を設けていることも判読できた。基肄城もハンディGPSによる現地踏査を実施し、これをDEM(50cmメッシュ)と重ねることで、詳細な土塁線の3次元データを作成することができた。従来の地形図への土塁線表示がかなり現地形とは食い違っていることを明らかにできた。 これまで平板測量などで多大な労力をかけて土塁線データを取得していたが、簡便な方法で微地形と重ねて土塁線を3次元で表示することが可能となった。このGPS機器の精度も検証作業を行った。土塁踏査によるGPS軌跡と本来の土塁とズレが生じた個所があったが、DEMを参考にして補正することで正確な土塁線を表示できた。こうして正確な土塁線を確定し、土塁線を3次元データとして整備する見通しを立てることができた。
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