2012 Fiscal Year Annual Research Report
在日フィリピン人の労働・女性化・市民権――パブリック人類学と市民社会の可能性
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21320162
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 伸枝 千葉大学, 文学部, 教授 (70412731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高畑 幸 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (50382007)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 移住 / 労働 / マイノリティ / フィリピン人 / 日本社会 |
Research Abstract |
2012年度の目的は、2011年の東日本大震災後の在日フィリピン人社会の変化を含む動きならびに震災とは別の新たな潮流を含めたデータ収集を行うことにあった。その理由としては、在日フィリピン人社会(市民社会)の支援活動が、これらで堅調にみられたことに柔軟に対応するためである。 国内のフィールド調査では、フィリピン人移住者の中で、継続して英語教師、介護者(在日及び経済連携協定=EPA)と、後者の支援者・雇用者と接触し、データの拡充を行った。特筆すべきは、3.11震災後にフィリピン人コミュニティが同胞被災者への就業支援が活発化したことを受け、当事者と同胞市民社会の動きを視野に入れつつ調査を行った。また、近年、在日フィリピン人の母国に残していた(未)青年子弟の呼び寄せが顕著になったことや、2008年の国籍法改正による日系人の日本流入も活発化していることから、民族(日系)・世代という分析枠を加え調査にあたり、データを拡充した。 また、直接のフィールド調査以外では、Facebookなどを使った情報収集も日常的に行った。加えて、フィリピンを訪問する機会があった時には、余剰時間を使い、既知の知人や過去に在日経験があるフィリピン人の接触し、来日および就労に関する動向を探った。 以上の調査から、日本人とフィリピン人といった民族・国民の差のみならず、世代など異なる属性が「ブラック化」を引き起こしている様子が新たな事象として観察できた。さらに、EPAの介護福祉士候補に関しては、年度末に第1回国家試験の結果がでた。この初期データは収集したが、2013年度はこれを分析できる程度に膨らませる予定である。 上記の調査を基に、国内の国際会議の場において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たなフィリピン人市民社会の動きを視野に入れたことで、調査対象者のカテゴリーを広げるには至らなかったが、当該社会が最も関心を持って支援している同胞に接触し、さらにインタビューが行えたことから、総合的にはおおむね順調といえると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
移住者は、サービス産業や非正規で就労していることが多く、フィリピン人は愛知県名古屋市を除くと集住地域がないため、データ収集には時間がかかる。2013年度は最終年度となるため、上記11に示したような過去1-2年のフィリピン人社会の動きに沿う形で、調査をまとめる必要があると想像される。
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Research Products
(1 results)