2010 Fiscal Year Annual Research Report
工芸の生産・流通・消費とグローバリゼーション――新しい「工芸の人類学」の構想
Project/Area Number |
21320163
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 健 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50109063)
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Keywords | 工芸 / グローバリゼーション / 技術 / 生産 / 流通 / 伝統(性) / 真正(性) / グローカル化 |
Research Abstract |
工芸は、世界各地で住民の生活に役立てられてきたために、豊かな地域的な変異と伝統をもち、古くから人類学の研究課題となり、物質的文化研究の重要な一部であった。しかし、かえって各地方の生態や生活を反映するその豊かな地域性、固有文化とかかわる独自の造形や意味付与、長大な伝統と歴史性は、工芸を扱いにくい課題としたことは確かである。本研究は、こうした多面的な工芸を、以下のような観点から研究調査し、現在における新しい工芸の人類学的研究を樹立することを目指している。(1)グローバル化の著しい今日の世界において、豊かな地域性や文化固有性、歴史性をもつ工芸が、どのように変容し、生き残ったり絶滅したり、逆に大きく販路を増やしたりしているかを調査する。(2)さらにコモディティとして特異な運動をする工芸を手がかりにして、グローバル化する経済の特異な経済事象の分析のための視座を考える。手づくり、稀少性、極度な地域限定性といったコモディティとして、グローバル化しにくい性格をもっている工芸のもっている可能性を考える。(3)さらに、これらの研究遂行過程における資料の蓄積と公開によって、困難な現状に直面している日本やアジアの工芸のための、知的サポートが可能になる。昨年度の、南アジアのネパール、カトマンドゥ盆地での調査に引き続いて、インドネシア(バリ島)とタイ(バンコクとチェンマイ)において調査をおこない、その一部分は、論文にまとめた。世界的視野で工芸が直面している問題と、そのダイナミズムについて、解析するための視座が構築されつつある。
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