2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本「周辺」地域にみる国境変動とアイデンティティ:韓国・台湾との越境を巡って
Project/Area Number |
21320165
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
上水流 久彦 県立広島大学, 地域連携センター, 講師 (50364104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 和弘 愛媛大学, 国際連携推進機構, 准教授 (40363262)
西村 一之 日本女子大学, 人間社会学部, 助教 (70328889)
森田 真也 筑紫女学園大学, 文学部, 准教授 (10412686)
角南 聡一郎 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 主任研究員 (50321948)
宮岡 真央子 福岡大学, 人文学部, 准教授 (70435113)
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Keywords | 越境 / 台湾:先島 / 韓国:対馬 / 観光 / 国民国家 / 植民地 / 海域 / 文化変容 |
Research Abstract |
平成23年度は、先島・台湾、対馬・韓国の両境域の交流、交易の比較検討から日本の「周辺」地域の国家への従属性を明らかにした。最初に国境の透過性を「柔らかい国境」、「堅い国境」(西村一之)という概念から歴史的に整理することを行ったうえで、当該両境域における過去の歴史化、歴史の資源化のプロセスを明らかにした。両境域ともに地理的近接性に基づく過去の交流を現在の交流の基盤としている。だが、そこで取り上げられ、地域の歴史になる過去は二つの境域で異なっており、そのため観光や交流における歴史の利用も必然的に異なっていた。そこにはミクロな関係における積み上げが境域の関係に影響を与えるというよりも、むしろ取り上げられるミクロな関係が日本と台湾、日本と韓国という中央の国家間の関係によって選別されている現状が存在した。日本の「周辺」は「周辺」ゆえに自由を獲得するのではなく、むしろ「周辺」故に東京、ソウル、台北などの「中央」以上に国家の拘束を受けるような構造に組み込まれていた。台湾人観光客、韓国人観光客の国境観光への認識については、石垣市、対馬市の自治体、観光協会等の協力を得て、アンケート調査を実施した。そこでも国家間の関係が認識に影響する現状を読み解くことができた。これらの成果の一部は日本文化人類学会第45回研究大会において分科会「越境経験の資源化・歴史化:日本の周辺地域における国境変動をめぐって」で公開をし、3年間の成果を平成24年度に風響社より出版する予定である。
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Research Products
(27 results)