2011 Fiscal Year Annual Research Report
高齢被害者救済のための公私協働型リーガル・ネットワークの研究
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21330004
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
守屋 明 関西学院大学, 法学部, 教授 (30127592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁木 恒夫 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (80284470)
草地 未紀 駿河台大学, 法学部, 准教授 (80365006)
一藁 幸 琉球大学, 法文学部, 講師 (20448583)
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Keywords | 基礎法学 / 高齢者被害 / 司法アクセス / 公私協働 / リーガル・ネットワーク / 弁護士 / 司法書士 / 地域包括支援センター |
Research Abstract |
2011年度は、2010年度までの調査で明らかになった高齢消費者の被害実態を検討すると共に、その救済に際して法律専門家(および法律隣接専門職)並びに行政等が関与する多様な局面についての分析を行った。 その上で、成年後見制度等の運営において高齢者の権利擁護事業に密接に関わっている司法書士、および介護保険制度等の運用等において高齢者の権利問題に関わる機会の多い地域包括支援センター職員に対するアンケート調査を計画し、それぞれアンケート調査票を作成すると共に、これを送付・回収した。 アンケート調査にあたっては、アンケート調査票の送付等の作業のために学生アルバイトを雇用すると共に、専門的判断を要する調査データのコード化、入力等のため、大学院生に継続的な研究参加を求めた。このようにして調査体制を整えた上で、入力フォーマットの作成、回収した調査データの入力、データクリーニングやアフターコードの作成等を行い、調査結果をデータベース化した。 また、データの整理・分析にとって不可欠である統計ソフト(SPSS)についての知識の共有化を図ると共に、データ入力されたアンケート調査のデータについて基礎的な分析を行った。 高齢消費者の権利擁護に関わる司法書士および地域包括支援センターの役割についての全国的規模でのランダム調査は、これまで本格的に実施されていないものであり、また両調査を統一的観点から実施した今回の調査は、この分野における先行研究として極めて有意義であると考える。 現時点における調査結果の分析からも、高齢諸費者問題への対応にあたっては、裁判制度および弁護士という狭義の司法システムの構成員のみならず、多様な法律隣接専門職、および行政・福祉関係者・医療専門家等からなる複合的ネットワークの重要性が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度の研究計画は一部2012年度に繰り越されて、二つの実態調査を2012年度中に行うことになったが、2012年度に実施した調査は、それぞれが単独に行われた場合よりも、同時期に行うことによりデータとしての整合性が高く、当初の研究目的はほぼ達成されたと考える。 裁判手続とADR、各専門職との連携のあり方についての理論的研究も、ほぼ予定どおり進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って、これまでの研究成果を順次公表すると共に、これまで収集したデータを分析し、今後の研究および政策提言につなげるための研究会等を開催する。 データベース化した調査資料の分析のために大学院生等の協力を求め、今後も継続した調査研究を行うことができる人的体制を整える。 高齢消費者被害の救済という課題が、一般市民の日常生活から精神的問題を抱えた高齢者や大規模被災地域の高齢者まで多方面に亘ることに鑑み、標準事例と特殊事例とを比較検討する理論枠組について、インタビュー調査を含め、一層の検討を進める。
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