2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21330016
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大塚 裕史 Kobe University, 大学院・法学研究科, 教授 (40304290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上嶌 一高 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40184923)
小田 直樹 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10194557)
宇藤 崇 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30252943)
池田 公博 神戸大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (70302643)
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Keywords | 刑事法学 / 医療事故 / 過失 / 黙秘権 / 令状主義 |
Research Abstract |
代表者・分担者において、医療事故における刑事過失責任、およびその解明に向けた法律上の手段に関する、基礎的な知見の獲得及びその検討を行った。その成果として、代表者は、故意による犯罪とは異なる刑事過失責任の特質を踏まえた、捜査遂行上、また理論上の問題点についての検討を加えた論稿を公表した。具体的には、1過失による法益侵害は不注意により、またとりわけ行為者・被害者の認識においては瞬間的に生じるがゆえに、発生状況に関する事件関係者の認識が故意犯におけるよりも不明確となりがちとなることを踏まえ、証拠が的確迅速に保全される必要がある、2過失犯について、結果回避可能性を考慮に入れてその成否を検討すべきであるとしても、予見が不可能であるがゆえに結果の回避が不可能な場合は予見可能性の問題として処理すべきであり、結果回避可能性は、予見可能性が肯定される場合に予見可能性とは独立して判断されるべきものと解すべきである、などの点を指摘した。また、研究分担者が、作為義務違反により生じる点において過失犯と同様の構造を有する故意不作為犯について、共著の教科書において検討を加えた。このほか、実体法及び手続法研究者の双方からなる研究組織における共同研究の一環として、12月に、研究代表者および分担者に学外の研究者を交えて研究会を開催した。具体的には、犯罪行為が時間的に幅をもって遂行され、その過程に犯罪の成立を妨げる事情(主として行為の違法性を阻却する状況)が介在する場合などに、一連の行為のどの部分を審判の対象として設定するかの判断基準をめぐる、実体法上の罪数論、手続法上の訴因論にまたがる問題点を対象として検討を行った。その成果は、研究分担者による1月の学会発表において公表され、またその内容は、平成22年度中に学会誌を通じて公表される予定である。
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[Journal Article]2009
Author(s)
佐久間修・橋本正博・上嶌一高
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Journal Title
刑法基本講議 総論・各論(有斐閣)
Pages: 84(45-95,137-158,253-263)
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