2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21330020
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀬川 信久 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10009847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 進 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20009848)
藤原 正則 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70190105)
山本 哲生 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80230572)
新堂 明子 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00301862)
嶋 拓哉 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80377613)
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Keywords | 消費者 / 投資者 / 金融システム / 不実表示 / 差額説 / 消費者契約法 / フランチャイズ契約 / 介入規範(絶対的強行法規) |
Research Abstract |
1.不実表示に関して、従来から研究の蓄積がある要件論に止まらず、近年飛躍的に研究が進展しつつある効果論(契約取消に基づく原状回復論、不法行為に基づく損害賠償論)も含めて包括的に研究を進めた。とりわけ、有価証券報告書の虚偽記載における投資者被害については、多数の裁判例と近時の諸学説を比較し、個別被害者の物理的な侵害に着目する差額説ではなく、市場取引に対する投資者の信頼への侵害に着目して、新たな損害概念と因果関係論を構築すべき必要性を明らかにした。また、商品先物取引の勧誘に関連して、債権法改正の基本方針をも踏まえて検討した結果、業者が将来の商品価格につき断定的判断の提供に至らない程度の予想を示した場合であっても、投資者が業者を信頼すべき情報源と評価し得るような制度設計がなされているときには、消費者契約法による取消しが認められるとの結論を得た。米国ドッド=フランク法の調査・研究を行ったほか、SECによる米大手証券に対する民事制裁金訴訟の分析と日米間の制度比較を行った。 2.消費者金融における過払金返還請求に関連して、金銭の不当利得につき実損害の賠償を規定する民法704条後段に実際的な意義を見出したほか、フランチャイジーのフランチャイザーに対する報告請求権についても、先行するドイツの判例・学説(特に、ネット契約論)を参考にしつつ検討を加えた。 3.手続法の領域では、金融機関が事業法人の危機時期に取得した債権により当該法人の倒産前に相殺を行うこと等の可否について、これを認めれば責任財産の減少を通じ一般投資家の期待を毀損する惧れがあるとの視点に立ち、わが国・ドイツの判例・学説等を研究した。また国際的貸付取引にわが国利息制限法が介入規範として適用される可能性につき検討を行ったほか、国際的投資取引を巡る紛争を念頭に置いて、米国・ドイツの判例・学説を踏まえつつ、国際裁判管轄について検証した。
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Research Products
(35 results)