2012 Fiscal Year Annual Research Report
多元的法秩序間の調整メカニズムに関する研究─EC法とEFTA法
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21330023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 洋一 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50201934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須網 隆夫 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80262418)
濱本 正太郎 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50324900)
寺谷 広司 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30261944)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | EEA法 / EU法 / EFTA法 / 国際組織法 / フラグメンテーション |
Research Abstract |
本研究計画は,多元的法秩序間の調整メカニズムとして,制度化された恐らく唯一の事例と思われる「ヨーロッパ経済領域(European Economic Area) (以下ではEEAと略称する)」の研究を課題とし,EU法・国際法研究への寄与を目指すものである. 本年度も,第一に,研究の基礎となる文献・資料の系統的調査・収集,第二に,共同研究者相互間での討議による問題意識・研究手法の明確化作業を継続した. 上記第一の点は,本研究のように未開拓の研究領域においては,系統的な文献・資料の収集が不可欠であることに基づく.そのため系統的な検索手段が何よりも必要であるにも拘わらず,EFTA・EEAに対する商業ベースの需要が必ずしも大きくないためか,系統的なEEA文献,EFTA判例評釈文献等の検索手段を見出すことができなかった.その後,国内に全く所蔵の無い専門誌にEFTA・EEA関係論文・評釈が掲載されていることが判明したため,ヨーロッパの大学図書館,EFTA裁判所等でコピーを入手し,また北欧の国際法専門誌を検索する等,関連文献の入手に努めた. 上記第二の点については,木を見て森を見ないEEA研究にならないようにするために,まずEEAの制度枠組自体の研究を継続することが重要であるため,具体的には,EEAの制度枠組形成の沿革,組織運営の実態等についての研究を継続した.更に,これらの基本的な理解を,共同研究者が共有すべく,研究会における討論を通じて,研究対象に関する論点を明確化するとともに,EFTA, EEAの制度枠組みとの関係において,各自の分担領域における具体的な問題の特定し,検討を始めることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在EEAのEFTA側構成国は,アイスランド,ノルウェー,リヒテンシュタインの3カ国のみであり,日本におけるビジネスローにとって,経済的利益という観点から見た重要性は,EC・EUに遠く及ばない.そのため,日本においては,EEAの制度,特にEFTA裁判所の研究は,従来あまり学問的関心の対象とされておらず,国際法研究者の間では,そもそもEEA自体殆ど知られていなかった.また,ヨーロッパにおいてもEEA研究の蓄積は,EC法研究に遠く及ばない. 従って,本研究の開始時点では,国内外の研究とも緒についたばかりと言って良い状態であり,本研究はほとんどゼロからの出発とならざるをえなかった. そこで,最初の二年ないし三年程度は,EFTA・EEA法の研究環境の整備,制度概要の全体的な理解を最優先課題としてきた.系統的な文献検索,収集方法といった,研究の言わばイロハから始め,EEAの制度概要にいたる基本的な知識を得ることに努めてきた.EFTA裁判所のBaudenbacher長官の来日の際の質疑,同長官の御好意によるEFTA裁判所での調査等に加え,共同研究者間の議論を継続することにより,本年度には,いよいよ各研究分担者が研究素材を特定し,具体的な検討を始めており,ほぼ当初の計画通りの研究の進展を見ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる来年度の研究の柱は二つ,即ち第一に,共同研究者相互間での討議に基づく具体的なEEA法分析および研究成果取りまとめ作業,第二に研究の基礎となる文献・資料の系統的調査・収集の継続である. 第一に,共同研究者相互間での討議による問題意識・研究手法の明確化作業をうけて,昨年度から開始した,具体的なEEAの制度形成に関する研究,EFTA裁判所判例の分析作業のとりまとめを行い,研究成果を公表する予定である.これまでEEAは,日本では殆ど研究されておらずまた知られてもいなかったため,まずその制度概要自体について理解することを目標としてきたが,来年度は,これまでに得た制度概要に関する知見に基づき,より具体的・実証的な分析作業を行うことにしたい.現時点では,伊藤が,EFTA裁判所判例の分析となる具体的なテーマを,・須網が,EU法とEFTA法との交錯に関する法秩序の構造分析を,濱本がEEAの制度形成過程を,寺谷が複数の国際人権保護システム競合・交錯を,それぞれ探求する予定である.なお,EFTA裁判所のBaudenbacher長官とも既に交流を深めてきたので,共同研究者相互間および同長官とも議論を深めたいと考えている. 第二に,研究の基礎となる文献・資料の系統的調査・収集を継続する.予期に反して,EEA法,EFTA裁判所判例に特化した既成の文献検索ツールが存在せず,地道に関係国毎の文献検索を行うことの重要性が明らかとなったからである.特に,従来日本であまり文献収集の対象となっていなかったEFTA諸国について,系統的調査・収集を継続したい.残念ながら性質上市場性の薄いこの分野の文献は,刊行からさほど年月が経過していない場合でも既に入手不可能となっている場合が少なくないため,そのような場合には,ヨーロッパの研究機関の図書館等の所蔵をも調査の上,コピーを入手することも考えている.
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Research Products
(5 results)