2009 Fiscal Year Annual Research Report
未(非)承認国家をめぐる国際関係に関する学際的研究
Project/Area Number |
21330038
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中井 和夫 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40188868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 淳 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90285081)
遠藤 貢 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70251311)
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Keywords | 国際政治 / 国際法 / 未承認国家 / 国家承認 |
Research Abstract |
今年度は、「未(非)承認国家」をめぐる今後の研究活動のための基盤整備、とりわけ関連文献・資料の収集を積極的に推進した。これら文献は、本研究の学際性を反映して、内戦や国家破綻、国際政治や国際法、さらにアフリカ、旧ソ連地域、バルカンの歴史や政治など、きわめて広範な分野に及んでおり、その多くが東京大学大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラムの図書室の蔵書として広く閲覧の対象とされている。また、連携研究者の阪本が進める未承認国家のマッピングについても、その基礎となる資料の収集が着手され、来年度以降のデータベースの作成へ向けた環境が整いつつある。海外調査については、当初予定していた中井らの海外調査活動が、現地の情勢等の問題で実施できなかったが、反面、連携研究者の柴が学会発表のために米国に赴き、主にスラブ地域を対象とする歴史研究者や地域研究者と国際的な交流を深めたことは、この地域を主要な事例のひとつとする本研究にとっても、非常に意義深いことであった。こうした一連の活動を背景に、研究代表者・分担者らによる学術的な研究成果が、プロジェクト初年度より精力的に生み出され、さまざまな場で公開されている。クリミア、南オセチアなど旧ソ連地域における(潜在的)未承認国家を比較も交えつつ論じた中井の研究、ソマリアの国家破綻とそのなかでのソマリランドという「事実上の国家」の形成を現代国際社会のあり方と関連づけて考察した遠藤の研究、あるいは国家破綻の状況下で起きる国際法上の問題に、ソマリア沖の海賊問題を事例として光をあてた連携研究者・西村の研究は、その代表的なものである。また、2009年11月には、北海道大学の松里公孝氏を招いて正教地域における非承認国家をテーマとする研究会を開くなど、研究組織を越えた学術交流の機会を積極的に求めた点も特筆される。
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Research Products
(12 results)