2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高頻度データを利用した企業のリスク構造推定モデルの開発と企業金融への応用
Project/Area Number |
21330078
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森保 洋 長崎大学, 経済学部, 教授 (10304924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 交謹 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (80305820)
阿萬 弘行 甲南大学, 経済学部, 准教授 (70346906)
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Keywords | 超高頻度データ / ボラティリティ / 企業金融 |
Research Abstract |
前年度に行った企業金融分野における実証分析に関するワーキングペーパーを国内外の各種学会・研究会で報告し、得られたコメントをもとに改訂作業を行った。 ストックオプション付与が経営者によるリスクテイク行動を増加させるかに関する実証分析においては、ストックオプション付与のイベントが生じると、realized volatilityは増加するものの、その増加は、ストックオプション付与と同時に報道される他のニュースによってもたらされるものであることが明らかになった。すなわち、我が国においてはストックオプション付与によって経営者のリスクテイクが増加するわけではないことが明ちかになった。これは米国市場とは対照的な結果であり、経営者のリクステイク態度は企業統治の形態に影響を受けることが示唆される。 情報開示制度や情報提供機関が株価形成に与える影響に関する実証分析については、(1)公的な情報開示がボラティリティを上昇させる(2)情報開示制度とマスメディアの両者でニュースが公表された場合、その株価ボラティリティの影響はより大きくなる(3)日次レベルで計測された企業固有リスクについてもボラティリティと同様の分析結果が得られる(4)企業規模などの企業特性が、ニュースとボラティリティの関係の強さに影響を与える等の分析結果が得られた。以上の結果から、情報開示制度や情報提供機関は株価形成について重要な役割を果たしていることが示されたといえる。
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