2011 Fiscal Year Annual Research Report
生命科学の事業化におけるバイオベンチャー存続へのリアルオプション機能
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21330090
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
藤原 孝男 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70173490)
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Keywords | バイオベンチャー / リアルオプション / 生命科学の事業化 / 戦略的提携 |
Research Abstract |
分子標的薬の標的EGFR1に対する低分子薬EGFR-チロシンキナーゼ阻害剤には、Gegitinib(Iressa;AstraZeneca)、Lapatinib(Tykerb;GlaxoSmithKline)、Erlotinib (Tarceva;アステラス・中外製薬・Roche)が、抗EGFR抗体には、Panitumumab (Vectibix {ABX-EGF}; Amgen,武田薬品工業)などがある。リーダーのAmgenは、Vectibixを得るためAbjenixを、Enbrelを得るためImmunexを、医薬候補Onco VEX GM-CSFを得るためBioVexを、転写調整因子技術を得るためTularikを其々買収している。 他方、siRNAのリーダーであるAlnylamはTuschl I& II特許をMax PlanckInstitute、MITなどからインライセンスしている。Alnylamの基本特許に関して、競合するSilence Therapeutics、BASF、Sanofiとの間で訴訟が存在する。またフォロワーのDicernaは、共同創業者J.:Rossiが所属するCity of Hopeからの基本特許をRocheと共同使用している。同社は、協和発酵キリンとAlnylamの基本特許を迂回するDsiRNA技術の癌への応用で提携している。 バイオベンチャーの業績はパレート分布に従っている。リーマンショック後のVCの消極化の中で、大型医薬の特許切れと連動し戦略的提携・M&Aが活発化している。事業モデルのシミュレーション分析では、提携は資本市場からの資金調達の重要な補完的経路であり、リアルオプションによってリスクヘッジできることが分かった。また、ライセンス料要素の最適な組み合わせを確率最適化で立案・調整可能なことも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予期しない知見の獲得による隣接領域への探索や、新しい資料の理解に関して判断の試行錯誤の時間がどうしても避けられず、時間管理のコストベネフィット分析の難しさが存在する。しかし、プロジェクト管理のスキルを磨く貴重な機会として感謝している。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の目的に沿って研究を進めるが、次年度が最終年度にあたるために、全体のまとめを意識しながら進捗の管理を図りたい。調査や学会で新たな出会いもあるために、そのような機会も積極的に活用していきたい。また、日本経済の復興に少しでも結び付けられるような知見を探りたい。
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Research Products
(13 results)