2010 Fiscal Year Annual Research Report
グローバルベンチャーの戦略行動特性に関する国際比較研究
Project/Area Number |
21330098
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高井 透 日本大学, 商学部, 教授 (60255247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 良 明治学院大学, 経済学部, 教授 (90153030)
ベントン キャロライン 筑波大学, ビジネス科学研究科, 教授 (50520897)
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Keywords | 事業転換 / 事業進化 / 戦略 / ストレッチ / グローバル / ベンチャー / コア事業 / シナジー |
Research Abstract |
本研究は、近年、国際ビジネスの分野で注目を浴びてきているグローバル・ベンチャー(またはBGCと呼ぶ)の戦略行動を多角的視点から解明することである。ここ数年、欧米のグローバル・ベンチャーに関する研究はかなりの蓄積を有してきている。しかし、日本含むアジアのグローバル・ベンチャーの戦略行動については十分に解明が進んでいるとは言えない。そこで本研究では、国際比較を前提に、アジアのグローバル・ベンチャー戦略行動を組織能力をキー概念に、戦略、マーケティング、技術開発、事業創造などの多角的視点から分析を行うことである。本年度も引き続き日本国内のグローバル・ベンチャーを中心にフィールド調査を実施した。とくに、本年はベンチャー企業の成長プロセスを中心に分析が行われた。創業のコア事業を環境変化に適応させながら進化させている企業の戦略と、ある時点からコア事業そのものを転換して成長している企業の戦略を比較分析した。分析結果は、事業転換や進化を可能にするようなキー資源は、失敗を重ねながらも継続的に行ってきた事業活動の中から生み出されるということである。失敗を通じて蓄積された資源は得てして見過ごされてしまう傾向があるが、事例企業は、失敗で蓄積された資源をうまくコア事業の転換に活用している。換言するならば、既存事業と新規事業の間でうまくシナジーを創り出していた。また、失敗のプロセスを見ると、困難な課題に直面しても決して簡単な方法で妥協していない。だからこそ失敗することになる。実際、事例企業はかなりのストレッチを行い、失敗を通じてコンピタンスが強化されていきていた。
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