2009 Fiscal Year Annual Research Report
ものづくり企業の生産管理と戦略管理会計との融合に関する理論的・経験的研究
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21330111
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
上總 康行 Fukui Prefectural University, 経済学部, 教授 (20121494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 一郎 関西大学, 商学部, 教授 (70174034)
長坂 悦敬 甲南大学, 経営学部, 教授 (00268236)
丸田 起大 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (70325588)
篠田 朝也 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (50378428)
潮 清孝 中京大学, 経営学部, 講師 (90551747)
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Keywords | プロジェクト・ファイナンス / 収益性指数法 / 回収期間法 / 生産工程シミュレーション / フィードフォワード管理 / 機会損失 / 空間基準会計 / アクターネットワーク理論 |
Research Abstract |
本研究では,日本企業における生産管理と戦略管理会計の関係および融合について理論研究と経験的研究を行っている。そのなかで,まず今年度は以下のような成果をあげることができた。 生産設備の管理に関して,日本的特徴であったメインバンク制の企業の投資決定への影響に注目し,ある銀行のプロジェクト・ファイナンスに関する聞取調査を行い,与信判断のプロセスにおいて収益性指数法や回収期間法がベースとして併用されていることが明らかになった。この計算が,融資を受ける企業の投資経済計算に影響を与え,日本企業の投資決定実践を作り上げているとも考えられる。生産プロセスの管理に関して,生産プロセスの構築段階におけるシミュレーションに注目した。工員の動きまでを対象にした生産工程のシミュレーションを生産コストデータと連携させることで,生産コストのフィードフォワード管理が効果的に行われることが明らかになった。生産ルーティンの管理に関して,固定費を変動費化し,余剰人員を解雇対象ともしうるABC/ABMとは異なり,日本企業の事例においては,余剰人員を積極的に活用することで将来収益力を増強し,管理会計的な視点でみれば,時間当たり採算や空間基準会計を利用して機会損失を創出し,この機会損失を回避するプロセスを通じて全員参加経営の下で経営改革が行われ,将来を注意深く予測するフィードフォワード管理を駆使しながら,結果として高収益企業となったことが明らかになった。また,分析枠組みに関する理論研究として,近年話題のアクターネットワーク理論の応用可能性について検討した。その結果、企業における管理会計システムおよびその実践が、「当たり前の装置」として社会および企業内に定着していくプロセスを描きだすための発見的装置としての役割を,アクターネットワーク理論が果たすことが明らかになった。
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Research Products
(7 results)